2017.5.13 第732回放送分 『うつ病』 ゲスト:春日井 基文ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「うつ病」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の春日井基文(かすがいもとふみ)ドクターです。
春日井さん、今週もよろしくお願いいたします。

春日井基文Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週は、うつ病は、気分が落ち込む、これまで興味があったことに関心がなくなるなどの精神症状に加えて、眠れない、食欲が出ない、頭痛、肩こりといった身体症状を伴うことが多い病気だということをお伺いいたしました。

春日井基文Dr: はい。
そうした症状が2週間以上続く場合、うつ病の可能性があります。

二見いすず: 今週は、うつ病から命を守るための対応についてお話をお願いできますか。

春日井基文Dr: はい。
うつ病で「死にたい」という考えが生じることは珍しくありません。
これは希死念慮または自殺念慮という精神症状で治療によって改善しますが、適切な対応がなされない場合は、最悪、死に至るケースもあります。

二見いすず: そういった悲しい出来事を未然に防ぐために、早期発見、早期治療が大切ですね。

春日井基文Dr: はい。そうですね。
身近な人から「死にたい」と言われると、なんとかしないといけないと焦ってしまい、「そんなことを考えてはダメ」と相手のつらさを否定したり、「しっかりして」「気の持ちようだから」と安易な励ましをしがちですが、正しい対応ではありません。

二見いすず: びっくりして、つい言ってしまいそうです。
では、どうすればいいのでしょうか。

春日井基文Dr: この場合、「死にたいと考えるほどつらいのですね。私に話してくれてありがとう。一緒に解決法を考えていきましょう。もしかしたら、うつ病かもしれないから、一緒に病院に行ってみない」と相手の気持ちに寄り添いながら、相手の話をしっかり聞いて、精神科や心療内科の受診をすすめてください。

二見いすず: 身近な人にうつ病の症状が見受けられ、「死にたい」と言われた場合は、相手のつらさを否定したり、安易に励ましたりせずに、相手の気持ちに寄り添いながら、話をしっかり聞いて、病院への受診を促してほしいということですね。

春日井基文Dr: はい。その通りです。
うつ病には患者さんご自身が感じる気分の変化だけでなく、周囲から見てわかる変化もあります。

二見いすず: 周囲から見てわかる、うつ病のサインとはどのようなものなのでしょうか。

春日井基文Dr: 以前よりも表情が暗い、涙もろくなった、反応が遅い、落ち着かない、飲酒量が増えるなどのサインがあります。

二見いすず: なるほど。
おかしいなと思ったら、専門家に相談することも大切ですね。

春日井基文Dr: はい。
うつ病の専門家は精神科や心療内科ですが、まずは患者さんご自身のことをよく知っているかかりつけ医に相談したり、地元の保健所や精神福祉保健センターの窓口を利用してもかまいません。

二見いすず: うつ病は早めに治療を始めるほど、回復も早いと言われているそうですね。

春日井基文Dr: はい。そうですね。
無理せず早めに専門機関に相談すること、そして、ゆっくり休養をとることが大切です。

二見いすず: よく分かりました。
お話は鹿児島県医師会の春日井基文(かすがいもとふみ)ドクターでした。
ありがとうございました。

春日井基文Dr: ありがとうございました。