2017.5.20 第733回放送分 『うつ病』 ゲスト:春日井 基文ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「うつ病」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の春日井基文(かすがいもとふみ)ドクターです。
春日井さん、今週もよろしくお願いいたします。

春日井基文Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週はうつ病から命を守るためにというテーマでお話をお伺いいたしました。
うつ病は、誰もがかかりうる病気だということですが、症状が進むと、「死にたい」という考えが生じることも珍しくないそうです。
そこでもし、身近な人にうつ病の症状が見受けられ、「死にたい」と言われた場合は、相手のつらさを否定したり、安易に励ましたりせずに、相手の気持ちに寄り添いながら、話をしっかり聞いて、病院への受診を促してほしいということでしたね。

春日井基文Dr: はい。
そうですね。

二見いすず: では、今週はうつ病で病院を受診するときに心掛けておきたいことを教えてください。

春日井基文Dr: はい。
うつ病の症状やサインがあるときは、ご本人だけで受診するのではなく、ご家族の同伴をおすすめします。

二見いすず: 一人で受診するよりも家族同伴がいいというのは、どうしてでしょうか。

春日井基文Dr: うつ病になると、自分の状態を医師にうまく伝えられなかったり、医師からの説明が十分理解できなかったりすることが少なくないからです。

二見いすず: なるほど。
そんな時こそ、家族の力が必要だということですね。

春日井基文Dr: はい。
ひと言でうつ状態といってもいろいろなタイプがあります。
そこで診察では、現在の状態だけでなく、過去にもうつ状態を繰り返していないか、逆に気分が高揚した時期はなかったか、これまでの治療歴やお薬の内容、副作用、アレルギーなどについて確認します。

二見いすず: わかりました。

春日井基文Dr: また、ご家族に同じような病気にかかった方がいるか、その場合はどのような治療を受けたのかも、患者さんの診断や治療の参考になります。

二見いすず: うつ病の正しい診断、治療には、ご家族のサポートが欠かせないということですね。

春日井基文Dr: はい。
ご家族からは普段の対応や心配な点について、医師に積極的に質問していただきたいと思います。
何でも相談できる信頼関係を築くことがうつ病の治療の第一歩です。

二見いすず: 初診のときだけでなく、治療が始まってからも診察には家族は付き添った方がいいのでしょうか。

春日井基文Dr: ご家族からの情報提供は、治療を進めるうえでとても貴重なものです。
また、ご家族の協力が患者さんの心の支えとなり、うつ病に対する治療効果を高めますので、ぜひ付き添っていただければと思います。

二見いすず: 他にも気をつけておきたいことはありますか。

春日井基文Dr: うつ病になると、無力感や罪悪感を抱きやすく、判断力も鈍っています。
そのようなときに「仕事を辞める」とか「離婚をする」など、その後の人生を左右する重大な決断は避けることが大切です。

二見いすず: よくわかりました。
お話は、鹿児島県医師会の春日井基文(かすがいもとふみ)ドクターでした。
ありがとうございました。

春日井基文Dr: ありがとうございました。