2017.6.10 第736回放送分 『ワクチン』 ゲスト:西 順一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「ワクチン」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターです。
西さん、今週もよろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週は、おたふく風邪ワクチンについて、お話をお願いできますか。

西順一郎Dr: はい。
おたふく風邪は約5年ごとに大きな流行がみられ、昨年から今年にかけて患者が増えています。

二見いすず: そうですか。
いま、おたふく風邪の流行が広がっているということですが、あらためて、おたふく風邪とはどのような病気なのでしょうか。

西順一郎Dr: おたふく風邪は、流行性耳下腺炎とも言いますが、おたふく風邪ウイルスによって起こる病気です。
飛まつ感染によって気道の粘膜から入ったウイルスが全身に広がり、感染から約2、3週間後に片方あるいは両方の耳の下にある耳下腺が腫れ、発熱を伴います。

二見いすず: おたふく風邪といいますと、お子さんがかかる病気だというイメージがありますが。

西順一郎Dr: そうですね。
多くは幼児期から学童期に発症しますが、免疫がないと大人もかかります。
熱は数日で下がり、腫れは1週間程度でおさまりますが、まれに合併症がみられることがあります。

二見いすず: おたふく風邪の合併症にはどのようなものがあるのでしょうか。

西順一郎Dr: 最も多いのは髄膜炎です。
発熱が続き、頭痛や嘔吐がみられますが、通常1、2週間で治り、後遺症は残りません。
また、思春期や大人になってかかると、精巣炎や卵巣炎が多くなります。
さらに、おたふく風邪が治った後に難聴がみられることもあります。

二見いすず: おたふく風邪の合併症としては、髄膜炎、精巣炎、卵巣炎などがあるということです。
また、難聴を引き起こすということもあるということも大変驚きました。

西順一郎Dr: はい。
最近では、おたふく風邪にかかった人のおよそ1,000人に1人に難聴が認められると報告されています。
これはウイルスに感染して症状が出ない場合でも起こることがあります。
おたふく風邪による難聴は有効な治療法がなく、一生残ります。
ワクチンによる予防が大切です。

二見いすず: 難聴という怖い合併症を避けるためにも、ワクチンの接種が推奨されているということですね。

西順一郎Dr: はい。
おたふく風邪の予防接種は任意接種で、1回目は1歳、2回目は小学校入学前の2回接種がすすめられています。
おたふく風邪は大人がかかると重症になりやすいので、大人の方で免疫がはっきりしないという方にも少なくとも1回の接種をおすすめします。

二見いすず: 自分の健康を守るだけでなく、ウイルスの流行を防ぐという意識を私たちが持つことも大切ですね。

西順一郎Dr: そうですね。
他の人に病気をうつさないように、ぜひワクチンで予防していただきたいと思います。

二見いすず: よく分かりました。
来週もワクチンについてお話を伺ってまいります。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターでした。
どうもありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。