2017.9.9 第749回放送分 『腰痛』 ゲスト:小宮 節郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「腰痛」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島大学病院整形外科教授の小宮節郎(こみやせつろう)ドクターです。
小宮先生、今週もよろしくお願いいたします。

小宮節郎Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今週は腰痛の症状と分類についてお話をお願いいたします。

小宮節郎Dr: わかりました。
腰痛はその原因によって、背骨由来、神経由来、内臓由来、血管由来、心因性の5つに分類されます。

二見いすず: それぞれ詳しく教えていただけますか。

小宮節郎Dr: まず、背骨に原因がある腰痛としては、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、骨粗鬆症などが代表的です。
このように皆さんご存知の病気以外にも背骨のがんや炎症、骨折といった重要疾患も見受けられます。特に高齢者は注意が必要です。

二見いすず: そうなんですね。

小宮節郎Dr: 腰痛は単に腰の筋肉の痛みとしてばかりではなく、危険な病気をはらんでいることが実はあります。
決して素人的な判断をなさらずに整形外科などの医療機関を受診して、的確に診断してもらい、その上でしかるべき治療を受けていただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。

小宮節郎Dr: 続きまして、神経由来の腰痛としては、脊髄神経の腫瘍があります。
また、腎臓や尿管結石など内臓に由来する腰痛では「疝痛」と呼ばれるほどの激痛が急激に生じます。
女性では婦人科疾患や妊娠なども考慮しなければなりません。

二見いすず: そうなんですね。

小宮節郎Dr: 次に血管に由来する腰痛として要注意なのは、腹部の解離性大動脈瘤や動脈瘤破裂です。
急激に発症し、激しい腰痛を引き起こします。
生命の危険性があり、専門施設での迅速な対応が不可欠です。

二見いすず: 心因性腰痛はいかがでしょうか。

小宮節郎Dr: 実はうつ病やヒステリーなどの心因性がもとで頑固な腰痛をきたすことがあります。
精神面の管理も重要です。

二見いすず: なるほど。
そうなんですね。
ところで、腰痛は慢性化することが多いのでしょうか。

小宮節郎Dr: 急性腰痛は発症後4週間未満で急速に改善します。
3ヵ月以内にはほとんどが自然治癒します。
しかしながら、一部に3ヵ月以上も痛みが継続する慢性腰痛になる人や、再発を繰り返す人がいます。
この原因としては「脳の不具合」、すなわち痛みをやわらげる脳のメカニズムが低下していることが指摘されています。
脳が痛みに敏感になっているため、少しの痛みにも過剰に反応するのです。
心理的ストレスがその過剰反応の原因とされています。

二見いすず: 腰痛の一部が脳機能の不具合によってもたらされると伺い、非常に驚きました。
ひとくちに腰痛といっても、奥が深いですね。
お話は鹿児島県医師会の小宮節郎(こみやせつろう)ドクターでした。
ありがとうございました。

小宮節郎Dr: ありがとうございました。