2017.9.23 第751回放送分 『腰痛』 ゲスト:小宮 節郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「腰痛」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島大学病院整形外科教授の小宮節郎(こみやせつろう)ドクターです。
小宮さん、今週もどうぞよろしくお願いいたします。

小宮節郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週は腰痛を予防するため、日常生活で気をつけたいことを教えてください。

小宮節郎Dr: まずは良い姿勢をとるように心掛けてください。
と申しますのも、我々は前かがみの姿勢を頻繁にとっています。
パソコン、スマートフォンを使う姿勢、読書、食事、料理の姿勢はすべて腕を前に持ってくる姿勢であり、背中は丸く、腰椎は前に曲がっています。

二見いすず: たしかに、デスクワークや家事をしていると、ついつい前かがみの姿勢になってしまいますね。

小宮節郎Dr: 立っている時のいい姿勢は、前から見て両方の肩と骨盤が地面や床と並行になっています。
横から見ますと、首はしっかりと起きており、遠い方向をまっすぐ見ています。
気をつけの姿勢では耳の穴、肩の付け根、膝の中央部、足の中央部を結んだ線が一直線になっていて、股関節と膝はまっすぐに伸びています。

二見いすず: そうなんですね。

小宮節郎Dr: この姿勢を保つには首の後ろの筋肉、両方の肩甲骨を背中で近づけるような筋肉、お腹の筋肉、お尻の筋肉、膝をまっすぐ伸ばす筋肉にしっかりと力が入っていなければなりません。

二見いすず: いい姿勢をとるポイントを教えてください。

小宮節郎Dr: 両足を揃え、壁に背を向けて立ち、肩甲骨、お尻、ふくらはぎ、両足のかかとが壁にくっついた姿勢をとります。
この時、両肩の後ろと後頭部が壁にくっつくようにした姿勢をなさってみてください。
この姿勢を保持すべく力の入っている筋肉、伸ばしている筋肉を意識していただければ、いい姿勢をとるコツがお分かりになるはずです。
とにかく両方の肩甲骨を背中の中心でくっつけるようにして、さらにまっすぐ遠くを見るようにすればよろしいと思います。

二見いすず: 座った時の姿勢はいかがでしょうか。

小宮節郎Dr: 背もたれから離れて浅く腰掛け、股関節よりも上体が前に位置するように背筋を伸ばして座りましょう。
事務職のように座った姿勢が長く続く場合、1時間に10分ほどの休憩時間を設けます。
この時に立ち上がり、上体の前後方向や左右方向へのストレッチ、首や肩の回転・回旋運動を行ってください。

二見いすず: 歩き方はいかがでしょうか?

小宮節郎Dr: ノルディック歩行がいいと思います。
スキー歩行でストックを使って、両方の肩、肘を直角にして大きく振って歩くイメージを持たれてください。
歩幅は大きく取り、かかとから着地し、足の親指で地面を蹴って歩いてください。

二見いすず: この他にも腰痛の予防や治療に役立つことはありますか?

小宮節郎Dr: ウォーキング、太極拳、ヨガなどの激しくない有酸素運動を楽しんでおやりになることをおすすめいたします。
幸せホルモンであるドーパミンやセロトニンの分泌が高まり、痛みをやわらげます。
ぜひ好きな音楽を聞いたり、いい香りを味わったりして、ストレスを減らす生活をなさってみてください。

二見いすず: お話は鹿児島大学病院整形外科教授の小宮節郎(こみやせつろう)ドクターでした。
ありがとうございました。

小宮節郎Dr: ありがとうございました。