2017.12.16 第763回放送分 『肺の病気 COPD』 ゲスト:井上 博雅ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「COPD」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の井上博雅(いのうえひろまさ)ドクターです。
井上さん、今週もよろしくお願いいたします。

井上博雅Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週はCOPDの診断について、お話をお願いいたします。

井上博雅Dr: COPDは胸のレントゲン検査では、進行して重症にならないと分かりにくい病気です。
そのため、まずはスパイロメーターという検査器械を使った呼吸機能検査、よく言う肺活量の検査が必要です。
二見さんは肺活量検査を受けたことがありますか?

二見いすず: あの大きく息を吸って、思い切り吐き出すという検査でしょうか。

井上博雅Dr: そうです。
COPDになると気管支が狭くなり、息が吐き出しにくくなります。
そこで、思い切り息を吸ってから、一気に強く吐き出した時の最初の1秒間で吐ける量を測定します。
この1秒間に吐ける量が気管支の狭さの目安になります。

二見いすず: なるほど。

井上博雅Dr: さらに、ここからは呼吸器の専門の施設での検査になりますが、気管支を広げる薬・気管支拡張薬を吸入していただき、約15分後の1秒間に吐ける量をみて、その結果から、COPDかどうかを診断します。
一気に息を吐き出すのはきついと感じられる方も多いようですが、肺のエクササイズと思って、検査を積極的に受けていただきたいと思います。

二見いすず: この呼吸機能検査は誰でも受けられるのでしょうか。

井上博雅Dr: はい。
誰でも受けられます。
最近では、健診でも肺活量検査を行っている所もあります。
COPDの患者さんには、咳や痰、息切れなどの症状がはっきりしない方や、症状があっても病気であることに気付いていない方が多くいらっしゃいます。
タバコを吸っている、またはタバコを吸ったことのある40歳以上の方は、ぜひ一度、この肺活量検査を受けていただきたいと思います。

二見いすず: 自分はタバコを吸わなくても、受動喫煙が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

井上博雅Dr: COPDは受動喫煙も危険因子です。
また、女性の方が男性よりCOPDを発症しやすいという研究結果もあります。
COPDは、早期診断・早期治療が大切です。
肺の健康をチェックするという意味でも、気になる方は、ぜひ早めに肺活量検査を受け手ください。
また、COPDの可能性を簡単にスクリーニングできる「COPD-Q」という質問票を作成しました。
鹿児島大学 呼吸器内科のHPでも「COPD-Q」を公開していますので、ご利用いただければと思います。

二見いすず: よくわかりました。
来週はCOPDの治療についてお話を伺ってまいります。
鹿児島県医師会の井上博雅(いのうえひろまさ)ドクターでした。
井上さん、ありがとうございました。

井上博雅Dr: 失礼しました。