2017.12.23 第764回放送分 『肺の病気 COPD』 ゲスト:井上 博雅ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「COPD」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の井上博雅(いのうえひろまさ)ドクターです。
井上さん、今週もよろしくお願いいたします。

井上博雅Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: では、今週はCOPDの治療について、お話をお願いいたします。

井上博雅Dr: COPDの治療法は、COPDの重症度や症状、運動能力、症状が悪化して入院したことがあるかどうかなどに応じて決まってきます。
しかし、まずは禁煙が重要です。

二見いすず: COPDの治療の基本は禁煙ですね。

井上博雅Dr: そうです。
タバコを吸い続ける限り、病気の進行を止めることはできません。
まずはたばこをやめることが治療の第一歩です。
禁煙が難しいという方には、ニコチンパッチなどのニコチンの代替療法や、専門医の指導のもとで飲み薬を使って禁煙する方法もあります。

二見いすず: わかりました。
COPDに対するお薬はいかがでしょうか。

井上博雅Dr: 以前は良い治療はなかったのですが、2004年頃からよい薬がでて、最近はCOPDの治療薬は飛躍的に進歩しています。
COPDの患者さんは気管支が狭くなり、息切れがおこります。
気管支を拡げる効果が一日中続くような吸入薬、これを長時間作用性の気管支拡張薬と言います。
この吸入薬で息切れなどの症状を軽くし、悪化して入院することを減らし、死亡率を減らすことができるようになりました。

二見いすず: そうですか。
では、運動やリハビリは有効なのでしょうか。

井上博雅Dr: はい、有効です。
COPDになると息が苦しいので、体を動かすことがおっくうになります。
肺の機能を維持・回復させるためには、呼吸リハビリテーションが重要です。
特に下肢・足の筋力トレーニングは、息切れの改善に効果的であることが分かっています。
理学療法士や呼吸療法士のいる施設に相談して下さい。

二見いすず: 他にも注意しておきたいことはありますか。

井上博雅Dr: COPDの患者さんは、インフルエンザや肺炎にかかると、症状が重症化しやすく、かつCOPDが悪化します。
そこで、ワクチンの接種が重要です。
COPDの悪化を防ぐワクチンとしては、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの2種類があります。
特に今の季節は、まずインフルエンザワクチンが重要ですね。

二見いすず: COPDの悪化を防ぐためには、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンが有効だということですね。

井上博雅Dr: はい。
すべてのCOPD患者さんに接種をおすすめいたします。

二見いすず: お話は鹿児島県医師会の井上博雅(いのうえひろまさ)ドクターでした。
井上さん、ありがとうございました。

井上博雅Dr: ありがとうございました。