2017.12.30 第765回放送分 『肺の病気 COPD』 ゲスト:井上 博雅ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「COPD」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の井上博雅(いのうえひろまさ)ドクターです。
井上さん、最終週の今日もどうぞよろしくお願いいたします。

井上博雅Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 最終週はCOPDの予防について、お話をお願いいたします。

井上博雅Dr: COPDの発症を予防する、COPDを悪化させない、その第一歩は禁煙です。

二見いすず: やはり禁煙のメリットは大きいのでしょうか。

井上博雅Dr: 禁煙することで、寿命・特に健康寿命が延びる可能性が高いことが明らかになっています。
禁煙のためには、自力で禁煙するよりは、禁煙外来や禁煙補助薬を利用するほうが、より確実に禁煙できます。
タバコを吸わないと脚本を書けないと言っていた橋田壽賀子さんは、旅行好きで、豪華客船が禁煙になったのでタバコを止めたそうです。
病気になってタバコを止める方もいますが、このように楽しみのために禁煙する方もいます。
禁煙するきっかけを探してみることも重要ですね。

二見いすず: さて、高齢化が進む中、COPDで亡くなる人は、これから増えるのでしょうか。

井上博雅Dr: COPDの有病率は、高齢者なるほど高くなる傾向があることがわかっています。
COPDになる方やCOPDで亡くなる方は今後も増え続けるだろうと考えられます。

二見いすず: そうなんですね。

井上博雅Dr: はい。
いま日本人の死因の第3位が肺炎ですけれども、これも圧倒的に高齢者が多いです。
この肺炎のきっかけにCOPDが隠れていると考えられています。
その点からもCOPDを早く見つけるということが重要です。

二見いすず: 早期発見できれば、禁煙や吸入のお薬により、症状の悪化をくいとめることができるというお話でしたね。

井上博雅Dr: その通りです。
世界的にCOPDの重要性が認識されて、日本でも国民の健康づくり運動「健康日本21」に取り上げられ、COPDの発症や重症化の予防が呼びかけられるようになりました。
しかし、COPDの認知度がまだまだ低く、診断や治療を受けていない方々が多いというのが現状です。

二見いすず: まずは私たちがCOPDという病気を知り、喫煙のリスクと禁煙のメリットを正しく理解することが大切ですね。

井上博雅Dr: はい。
最近はPM2.5という大気汚染の指標が注目されていますね。
タバコの煙もPM2.5の一種です。
禁煙によって、室内のPM2.5は劇的に減らすこともできるのです。
COPDの心配があれば、まずは医療機関を受診して、ぜひ肺活量検査を受けていただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
5週にわたりCOPDについて貴重なお話をお伺いいたしました。
お話は鹿児島県医師会の井上博雅(いのうえひろまさ)ドクターでした。
井上さん、ありがとうございました。

井上博雅Dr: ありがとうございました。