2018.3.10 第775回放送分 『アレルギー性鼻炎』 ゲスト:上野 員義ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「アレルギー性鼻炎」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の上野員義(うえのかずよし)ドクターです。
上野さん、今週もよろしくお願いいたします。

上野員義Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週は、アレルギー性鼻炎には、ダニやハウスダストなどが原因の「通年性アレルギー性鼻炎」と、花粉症に代表される「季節性アレルギー性鼻炎」があると伺いました。

上野員義Dr: はい。
そうですね。

二見いすず: 今週は春先に多く見られる「花粉症」についてのお話をお願いいたします。

上野員義Dr: はい。
花粉症の代表的なものに「スギ花粉症」があります。
2008年の全国調査の結果からは、日本人のおよそ4人に1人がスギ花粉症であると推定されています。
鹿児島県では、スギ花粉が通常2月初旬に飛び始め、3月初旬に飛散のピークを迎えます。

二見いすず: 鹿児島県では、3月初旬、まさにいまがスギ花粉の飛散のピークだということですね。

上野員義Dr: はい。
さらに、鹿児島県は、ヒノキ花粉の飛散も多いのが特徴です。
スギ花粉症の方は、しだいにヒノキにも過敏になり、4月下旬頃まで症状が続くことがあります。

二見いすず: なるほど。
花粉症といいますと、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状がみられますが、もともとアレルギーがなかった人も突然発症すると聞きます。
これはなぜでしょうか。

上野員義Dr: 花粉症には、3つのキーワードがあります。
それは、「体質」「感作」「発症」です。

二見いすず: 「体質」「感作」「発症」、これが3つのキーワードなんですね。

上野員義Dr: はい。
遺伝的にアトピー「体質」の人が、ある期間、花粉を吸入すると、血液中のリンパ球がサイトカインというタンパク質を過剰に生産するようになります。
この時期を「感作」といいます。
この感作期間の後にリンパ球がまた別のサイトカインを過剰に生産することによって、花粉症が発症します。

二見いすず: もともと花粉症になりやすい「体質」の方が花粉を吸入しつづけると、「感作」という状態になり、その後、「発症」に至るというわけですね。
では、病院ではどのような過程を経て、スギ花粉症だと診断されるのでしょうか。

上野員義Dr: まずは問診で、症状の出る時期や程度、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の有無などを確認します。
さらに、鼻水の検査、血液検査、皮膚テストなどの検査結果から総合的に診断します。

二見いすず: スギ花粉症と診断された人が自然に治ることはあるのでしょうか。

上野員義Dr: アトピー体質が関与しますので、残念ながら一度発症すると、自然治癒は期待できません。
むしろスギ花粉症の人はヒノキやブタクサ、イネ科の花粉にも反応しやすくなります。

二見いすず: わかりました。
来週は花粉症の対策について詳しく伺ってまいります。
お話は鹿児島県医師会の上野員義(うえのかずよし)ドクターでした。
ありがとうございました。

上野員義Dr: ありがとうございました。