2018.4.14 第780回放送分 『禁煙』 ゲスト:有馬 新一ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「禁煙」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の有馬新一(ありましんいち)ドクターです。
有馬さん、よろしくお願いいたします。

有馬新一Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今日は、喫煙しない方が他人のタバコの煙を吸わされる「受動喫煙」についてお伺いしたいと思います。

有馬新一Dr: はい。
受動喫煙とは、自分ではタバコを吸わないのに、喫煙者が火をつけたタバコの先から立ち上る「副流煙」や、喫煙者が吐き出す「呼出煙」を吸い込むことを言います。
副流煙には喫煙者本人が吸い込む主流煙よりも多くの有害物質が含まれています。

二見いすず: タバコを吸っている本人よりも周りにいる人が悪影響を受けるというのは、怖いですね。

有馬新一Dr: 肺がん、心疾患、脳卒中の死亡者のうち、受動喫煙が原因とみられる死亡者は1万5000人にのぼると推計されています。

二見いすず: 家庭や公共の場では、子どもたちへの影響も心配ですね。

有馬新一Dr: 受動喫煙で子どもが受ける健康被害は、大人以上に深刻です。
両親が喫煙している家庭の乳幼児は非喫煙者家庭に比べて、乳幼児突然死症候群のリスクが10倍にもなると言われています。
また、喘息をお持ちのお子さんは症状が悪化することがあります。

二見いすず: では、妊娠されている方への影響はいかがでしょうか。

有馬新一Dr: 受動喫煙は胎児の発育に影響を及ぼします。
また、妊婦さんご自身がタバコを吸っている場合は、早産になる危険性や低体重児を生む割合が2倍以上という報告もあります。

二見いすず: 大切な赤ちゃんやお子さんの健康を守るためにも、お父さん、お母さんはぜひ禁煙を考えていただきたいですね。

有馬新一Dr: はい。そうですね。
既に世界では、受動喫煙の健康被害は明白なものとして、禁煙化が進んでいます。

二見いすず: そうなんですか。

有馬新一Dr: 日本では東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、受動喫煙対策を強化するための健康増進法改正案が決定されました。
今後は学校や病院、行政機関では原則敷地内禁煙とされました。
また、飲食店も一部既存店を除いて禁煙になりました。
施行は2020年4月からですが、望まない受動喫煙がなくなるように、私たち一人ひとりが対策を考えていかなければならないと思います。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の有馬新一(ありましんいち)ドクターでした。
ありがとうございました。

有馬新一Dr: ありがとうございました。