2018.5.12 第784回放送分 『ワクチン』 ゲスト:西 順一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「ワクチン」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターです。
西さん、今週もよろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週は、水痘・水疱瘡と帯状疱疹のワクチンについてお話をお願いいたします。

西順一郎Dr: まず、水痘、いわゆる水疱瘡は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる発疹性の病気です。
空気感染で広がり、感染から2、3週間程度で発症します。
発疹が体幹から出て、全身に広がり、発熱もみられます。
発疹は1週間程度の経過でかさぶたになり、治癒します。

二見いすず: 水疱瘡はよく知られている病気ですが、重症化するとどうなるのでしょうか。

西順一郎Dr: 健康な方は軽症で経過も良好ですが、白血病などの免疫不全がある方が水痘にかかると、最悪の場合、死亡することもあります。

二見いすず: そのような方にうつさないためにも、ワクチンの接種が大切ですね。

西順一郎Dr: そうですね。
平成26年10月から水痘ワクチンの定期接種が始まりました。
水痘ワクチンは2回接種で、初回は1歳になったらすぐ、追加は初回接種から3ヶ月から6ヶ月ほど間隔をあけて行います。

二見いすず: 水痘ワクチンは、必ず2回受けなければならないのでしょうか。

西順一郎Dr: 接種が1回だけだと、免疫が不十分で発症する可能性があります。
水痘は幼児がかかりやすいので、1歳のうちに忘れずに2回受けてください。

二見いすず: よくわかりました。
さて、この水痘ワクチンですが、帯状疱疹の予防を目的に接種することもできるとお聞きしました。

西順一郎Dr: はい。
平成28年3月から50歳以上の方を対象に、帯状疱疹予防を目的とした水痘ワクチンの任意接種が承認されました。
帯状疱疹は、水痘と同じく水痘・帯状疱疹ウイルスが引き起こす病気ですが、水痘が治った後、ウイルスが神経の中に隠れて一生にわたり潜伏します。
加齢やストレスの影響で免疫が弱まると、活動を再開し、特定の神経領域に発疹と痛みを起こす帯状疱疹を発症させます。
治った後も神経痛が長く続くことがあります。

二見いすず: わかりました。
水痘にかかったことがある人なら、誰もが帯状疱疹になる可能性があるということですね。

西順一郎Dr: はい。そのとおりです。
水痘は平成26年からすべての小児に定期接種が導入されたことによって、劇的に患者数が減りました。
ところが、水痘患者が減ると、ウイルスに対する個人の免疫が弱まり、帯状疱疹を発症しやすくなります。
帯状疱疹は50代で増え始め、70代でピークになりますが、最近実際に成人の帯状疱疹の患者数が増加しているといわれています。
ぜひワクチンで予防していただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターでした。
ありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。