2018.7.14 第793回放送分 『子どもの貧血』 ゲスト:児玉 祐一ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「子どもの貧血」をテーマに鹿児島県医師会の児玉祐一(こだまゆういち)ドクターにお話を伺っています。
児玉さん、よろしくお願いいたします。

児玉祐一Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週は子供の貧血には、年齢ごとに発症しやすい貧血が存在するというお話をお伺いしました。
そこで今週は、それぞれの時期に起こりやすい貧血について、詳しくお話をお願いいたします。

児玉祐一Dr: はい。
まずは新生児期の貧血についてお話します。
新生児期に多いのが、失血・つまり出血による貧血と、溶血性貧血です。

二見いすず: まず失血について教えてください。

児玉祐一Dr: 失血の種類としては、胎児から母体への失血、一卵性双生児では一方のお子さんからもう一人のお子さんへの失血が挙げられます。
また、新生児の体内出血としては、頭蓋内出血、硬膜下血腫、帽状腱膜下血腫が多いです。

二見いすず: 新生児の溶血性貧血はいかがでしょうか。

児玉祐一Dr: 溶血性貧血としては、ABO不適合またはRh不適合の血液型不適合貧血によるものが代表的です。
お子さんに強い黄疸が出ることが多く、長期にわたる光線療法や交換輸血が必要となる場合があります。

二見いすず: わかりました。
次に乳児期の貧血についてお願いします。

児玉祐一Dr: 乳児期には生理的貧血、未熟児後期貧血が挙げられます。
ともに身体の急速な発育に対して、赤血球産生能の発達が遅れるために発生します。
生後4ヶ月以降になると、母乳に含まれる鉄分が少ないことから鉄欠乏性貧血に陥りやすいので、適切な離乳食が必要となります。

二見いすず: 幼児・学童期はいかがでしょうか。

児玉祐一Dr: 栄養バランスの問題による鉄欠乏性貧血の頻度が高いです。
しかし、幼児・学童期は、乳児期、思春期に比べて成長がゆるやかであり、この時期における鉄所要量は比較的少ないです。
もしこの時期に鉄欠乏性貧血が判明した場合は、消化管出血や吸収障害の可能性もあります。また、幼児期に発症のピークがある白血病は、第三者から顔色の悪さが指摘され受診し、発見されることが多いです。

二見いすず: 最後に思春期はいかがでしょうか。

児玉祐一Dr: 思春期は鉄欠乏になりやすい時期です。
特に思春期の女子の場合は、急激な体の成長と月経や食習慣が重なり、潜在的な鉄欠乏状態にあると考えられ、初経の開始による出血量の増大とダイエット指向による栄養素不足が鉄欠乏性貧血の増加につながっています。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の児玉祐一(こだまゆういち)ドクターでした。
ありがとうございました。

児玉祐一Dr: ありがとうございました。