2018.7.28 第795回放送分 『子どもの貧血』 ゲスト:児玉 祐一ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「子どもの貧血」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の児玉祐一(こだまゆういち)ドクターです。
児玉さん、最終週の今日もよろしくお願いいたします。

児玉祐一Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週は、「再生不良性貧血」についてお話をお願いいたします。

児玉祐一Dr: はい。
再生不良性貧血は、血液中の赤血球、白血球、血小板のすべてが減少し、骨髄の低形成を示す病気です。
国内における小児再生不良性貧血の年間発症数は、70〜90人と推定されています。

二見いすず: 再生不良性貧血は、小児慢性特定疾病の対象とされていますが、病気の原因はわかっているのでしょうか?

児玉祐一Dr: 再生不良性貧血には、生まれつき遺伝子の異常があって起こる場合と、そうでない場合があります。
再生不良性貧血10%がファンコニ貧血などの先天性、残りの90%が後天性再生不良性貧血です。

二見いすず: 再生不良性貧血の多くが後天性だということですね。

児玉祐一Dr: そうですね。
後天性再生不良性貧血には、何らかの原因があって起こる場合と、原因不明の場合があります。
実際、約90%が原因不明の特発性再生不良性貧血で、その多くが血液幹細胞を標的とする自己免疫疾患と考えられています。

二見いすず: どのような症状がありますか?

児玉祐一Dr: 主な症状としては、息切れ、動悸、めまいなどの貧血症状と、皮下出血斑、歯肉出血、鼻出血などの出血傾向がみられます。
赤血球が減るため、顔色は青白くなります。

二見いすず: 病院で再生不良性貧血だと診断された場合、どのような治療法があるのでしょうか。

児玉祐一Dr: 特発性再生不良性貧血の治療成績は、免疫抑制療法や骨髄移植の進歩により、近年大きく向上しています。
現在では、HLA一致同胞ドナーがいれば、骨髄移植を行います。

二見いすず: 詳しく教えてください。

児玉祐一Dr: HLAという白血球型の合った兄弟姉妹から骨髄細胞を移植します。
HLA一致の兄弟姉妹からの骨髄移植では生存率は90%以上であり、極めて優れた治療成績が報告されています。

二見いすず: そうですか。
では、免疫抑制療法はいかがでしょうか。

児玉祐一Dr: HLA一致同胞ドナーがいない場合は、抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン(ATG)やシクロスポリンという薬を用いた治療を行います。
有効率は70%程度です。
この免疫療法や移植療法の後の晩期障害を回避することが今後の課題として重要だと考えています。

二見いすず: よくわかりました。
4週にわたり、「子どもの貧血」について、大変貴重なお話をお伺いいたしました。
お話は鹿児島県医師会の児玉祐一(こだまゆういち)ドクターでした。
児玉さん、どうもありがとうございました。

児玉祐一Dr: ありがとうございました。