2018.9.1 第800回放送分 『肩の痛み・手の痛み』 ゲスト:栫 博則ドクター



二見いすず: 9月になりました。
今月のドクタートークは「肩の痛み・手の痛み」についてお送りいたします。
前半の3回は「肩の痛み」について、後半の2回は「手の痛み」について、お話をお伺いいたします。
まず前半の3回は、鹿児島県医師会の栫博則(かこいひろのり)ドクターにお話をお伺いいたします。
栫さん、どうぞよろしくお願いいたします。

栫 博則Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週のテーマは「肩の痛み」ですが、年齢を重ねると、肩をあげるときに痛みを感じることがあります。
巷では、五十肩と言われますが、これはどんな状態のことを言うのでしょうか。

栫 博則Dr: まずは、五十肩の由来から説明します。
江戸時代の書物・俚言集覧(りげんしゅうらん)に、「凡、人五十歳ばかりの時、手腕、骨節痛む事あり、程過ぐれば薬せずして癒るものなり、俗にこれを五十腕とも五十肩ともいう。また長命病という」という一節があります。

二見いすず: 江戸時代の書物にも五十肩が出てくるとは驚きました。

栫 博則Dr: 以降、50歳頃の中年期に、原因を問わず、肩の痛みと運動障害がある状態を一般に五十肩と呼ぶようになりました。

二見いすず: そうなんですね。

栫 博則Dr: ちなみに、最近は「四十肩」という言葉も聞きますが、五十肩の症状が40代で起きたために名付けられた造語で、両者の違いは発症年齢だけです。

二見いすず: そうですか。
よくわかりました。
では、五十肩はどのようにして起こるのでしょうか。

栫 博則Dr: 肩は酷使することによって、炎症や損傷が起こりやすく、痛み、可動域の制限が起こると考えられます。

二見いすず: そうすると、40代、50代で肩の痛みがある場合は、五十肩だと考えていいのでしょうか。

栫 博則Dr: 世間では、「肩の痛み=(イコール) 五十肩」とされる傾向にありますが、肩の痛みを生じる疾患には、鍵盤断裂、石灰性腱炎などのさまざまな病気があり、それぞれ治療法が異なります。

二見いすず: なるほど。
他の病気の可能性もあるんですね。

栫 博則Dr: はい。
そのため、病院では、問診、診察、理学所見、画像診断で、他の病気が隠れていないかを鑑別します。

二見いすず: たかが肩の痛みと思わずに、痛みの症状が続いたら、専門医の診断を受けることが大切ですね。

栫 博則Dr: はい。そうですね。
肩をぶつけた、捻ったなどの心当たりがないのに、突然肩が痛み、肩が上がらないなどの運動制限が出てきた時は、自己診断せずに整形外科を受診することをおすすめいたします。

二見いすず: よくわかりました。
今月は月の前半3週にわたり、「肩の痛み」についてお話しを伺ってまいります。
来週も五十肩について詳しくお話いただきます。
鹿児島県医師会の栫博則(かこいひろのり)ドクターでした。
ありがとうございました。

栫 博則Dr: ありがとうございました。