2018.9.8 第801回放送分 『肩の痛み・手の痛み』 ゲスト:栫 博則ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「肩の痛み・手の痛み」についてお送りしております。
今週は前回に引き続き「肩の痛み」について、鹿児島県医師会の栫博則(かこいひろのり)ドクターにお話をお願いいたします。
栫さん、どうぞよろしくお願いいたします。

栫 博則Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週は五十肩の経過と治療についてお話をお願いいたします。

栫 博則Dr: はい。
まず、経過についてお話しましょう。
五十肩の経過は、急性期、慢性期、回復期の3つに分けられます。

二見いすず: はい。
急性期、慢性期、回復期の3つということですが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

栫 博則Dr: まず急性期は肩の痛みが非常に強い時期です。
肩を動かす時だけでなく、安静時にも痛みを感じたり、夜間に眠れないほどの強い痛みが生じることもあります。
これらの症状は発症から2週間程度で治まります。

二見いすず: わかりました。
では、慢性期はいかがでしょうか。

栫 博則Dr: 慢性期になると、急性期の痛みが徐々に治まるとともに、肩関節が徐々に動かしにくくなります。慢性期は約6ヶ月前後つづきます。
痛いからといって肩の筋肉を動かさないでいると、組織の癒着が起こり、さらに動かなくって、治癒が長引きますので、注意が必要です。

二見いすず: わかりました。
では、回復期はいかがでしょうか。

栫 博則Dr: 回復期はさらに痛みが軽減し、徐々に肩も動かせるようになります。
五十肩は回復経過に1年前後を要するとされていますが、ほとんどの患者さんは自然に回復します。
手術にいたることは非常にまれです。

二見いすず: わかりました。
では、治療について教えていただけますか。

栫 博則Dr: 急性期の治療ではとにかく痛みを抑えることを重視します。
肩関節を安静にして、飲み薬や貼り薬などにより、痛みを鎮めます。
痛みのコントロールが困難な場合は、局所麻酔薬とステロイド剤の関節内注入を行うこともあります。

二見いすず: 慢性期になると、治療法は変わるのでしょうか?

栫 博則Dr: はい。
慢性期以降は痛みを抑えつつ、肩関節を徐々に動かしていきます。
通院での理学療法に加え、患者さんご本人に行ってもらう運動療法も重要です。

二見いすず: 急性期は安静にすること、慢性期は動かすことが大切なんですね。

栫 博則Dr: はい。そうですね。
五十肩は基本的に自然治癒しますが、可動域制限が残ることがあるので、積極的に治療を行うことが望ましいです。
Codman体操という振り子運動やストレッチポール上での可動域訓練などが有効です。
必要に応じて、ヒアルロン酸の関節内注入を行うこともできますので、詳しくは整形外科医におたずねください。

二見いすず: よくわかりました。
今週は五十肩の経過と治療についてお話いただきました。
来週も「肩の痛み」について詳しくうかがってまいります。
お話は鹿児島県医師会の栫博則(かこいひろのり)ドクターでした。
ありがとうございました。

栫 博則Dr: ありがとうございました。