2018.9.15 第802回放送分 『肩の痛み・手の痛み』 ゲスト:栫 博則ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「肩の痛み・手の痛み」についてお送りしております。
今週は前回に引き続き「肩の痛み」について、鹿児島県医師会の栫博則(かこいひろのり)ドクターにお話をお願いいたします。
栫さん、どうぞよろしくお願いいたします。

栫 博則Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週は五十肩にまぎれこんでいるという「腱板断裂」について、詳しく教えていただけますか。

栫 博則Dr: はい。
五十肩だと思って治療をしていても、なかなか良くならない、という場合は、「腱板断裂」の可能性があります。

二見いすず: この「腱板断裂」とは、どのような状態なのでしょうか。

栫 博則Dr: まず、腱板について説明しましょう。
肩を動かすのに一番大切なのは、肩の一番外側にある三角筋です。
腱板はその内側にあり、三角筋の手助けをしている筋肉です。

二見いすず: 腱板というのは、肩の三角筋の内側にある筋肉なんですね。

栫 博則Dr: はい。そうです。
三角筋がしっかりしていれば、腱板断裂があっても肩をあげられることが多いです。
しかし、肩の中でひっかかるような感じや、肩をあげた時にズキズキするような痛みを感じることがあります。
また、断裂が大きくなると、肩があげられなくなることもあります。

二見いすず: この腱板断裂に気づかないままでいると、どうなるのでしょうか?

栫 博則Dr: 腱板断裂の期間が長くなると、断裂した部分の筋肉に萎縮がおこり、肩甲骨背面の筋肉の萎縮が目で見て確認できることもあります。

二見いすず: 筋肉が萎縮すると聞くと、こわいですよね。
腱板断裂には、どんな人がなりやすいのでしょうか。

栫 博則Dr: この腱板断裂の原因の一つに腱板の老化があります。
50代頃から徐々にみられるようになり、年齢を重ねるにつれ、増加していきます。
80代になると、2人に1人は腱板が切れているとの報告もあります。

二見いすず: 80代の2人に1人ですか。

栫 博則Dr: はい。そうなんです。
ただし、腱板断裂があっても肩があげられないなどの症状が出るのは3分の1との報告もあります。
まず保存療法が行われます。
保存療法とは、薬物療法、運動療法です。

二見いすず: 保存療法で治らない場合は手術ができるのでしょうか。

栫 博則Dr: はい。
保存療法が無効な場合、手術による腱板修復が必要ですが、多くの場合、関節鏡下手術による腱板修復が可能です。
関節鏡下手術は、通常の手術に比べて、体に負担が少なく、術後の痛みも軽減できます。
五十肩の治療をしても症状の変化がみられない方は、整形外科でMRIなどの精密検査を受けることをおすすめいたします。

二見いすず: よくわかりました。
肩の痛みについて、3週にわたり、貴重なお話をしていただきました。
お話は鹿児島県医師会の栫博則(かこいひろのり)ドクターでした。
栫さん、どうもありがとうございました。

栫 博則Dr: ありがとうございました。