二見いすず: | 今月のドクタートークは「肩の痛み・手の痛み」についてお送りしております。 今週は前回に引き続き「肩の痛み」について、鹿児島県医師会の栫博則(かこいひろのり)ドクターにお話をお願いいたします。 栫さん、どうぞよろしくお願いいたします。 |
栫 博則Dr: | よろしくお願いします。 |
二見いすず: | 今週は五十肩にまぎれこんでいるという「腱板断裂」について、詳しく教えていただけますか。 |
栫 博則Dr: | はい。 五十肩だと思って治療をしていても、なかなか良くならない、という場合は、「腱板断裂」の可能性があります。 |
二見いすず: | この「腱板断裂」とは、どのような状態なのでしょうか。 |
栫 博則Dr: | まず、腱板について説明しましょう。 肩を動かすのに一番大切なのは、肩の一番外側にある三角筋です。 腱板はその内側にあり、三角筋の手助けをしている筋肉です。 |
二見いすず: | 腱板というのは、肩の三角筋の内側にある筋肉なんですね。 |
栫 博則Dr: | はい。そうです。 三角筋がしっかりしていれば、腱板断裂があっても肩をあげられることが多いです。 しかし、肩の中でひっかかるような感じや、肩をあげた時にズキズキするような痛みを感じることがあります。 また、断裂が大きくなると、肩があげられなくなることもあります。 |
二見いすず: | この腱板断裂に気づかないままでいると、どうなるのでしょうか? |
栫 博則Dr: | 腱板断裂の期間が長くなると、断裂した部分の筋肉に萎縮がおこり、肩甲骨背面の筋肉の萎縮が目で見て確認できることもあります。 |
二見いすず: | 筋肉が萎縮すると聞くと、こわいですよね。 腱板断裂には、どんな人がなりやすいのでしょうか。 |
栫 博則Dr: | この腱板断裂の原因の一つに腱板の老化があります。 50代頃から徐々にみられるようになり、年齢を重ねるにつれ、増加していきます。 80代になると、2人に1人は腱板が切れているとの報告もあります。 |
二見いすず: | 80代の2人に1人ですか。 |
栫 博則Dr: | はい。そうなんです。 ただし、腱板断裂があっても肩があげられないなどの症状が出るのは3分の1との報告もあります。 まず保存療法が行われます。 保存療法とは、薬物療法、運動療法です。 |
二見いすず: | 保存療法で治らない場合は手術ができるのでしょうか。 |
栫 博則Dr: | はい。 保存療法が無効な場合、手術による腱板修復が必要ですが、多くの場合、関節鏡下手術による腱板修復が可能です。 関節鏡下手術は、通常の手術に比べて、体に負担が少なく、術後の痛みも軽減できます。 五十肩の治療をしても症状の変化がみられない方は、整形外科でMRIなどの精密検査を受けることをおすすめいたします。 |
二見いすず: | よくわかりました。 肩の痛みについて、3週にわたり、貴重なお話をしていただきました。 お話は鹿児島県医師会の栫博則(かこいひろのり)ドクターでした。 栫さん、どうもありがとうございました。 |
栫 博則Dr: | ありがとうございました。 |