2018.9.22 第803回放送分 『肩の痛み・手の痛み』 ゲスト:佐々木 裕美ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「肩の痛み・手の痛み」についてお送りしております。
前回までの3回は「肩の痛み」についてお話をお伺いいたしました。
今週からは「手の痛み」について、鹿児島県医師会の佐々木裕美(ささきひろみ)ドクターにお話をお伺いいたします。
佐々木さん、どうぞよろしくお願いいたします。

佐々木裕美Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週のテーマは「手の痛み」ですが、特に更年期の女性に手の痛みを訴える方が多いそうですね。

佐々木裕美Dr: はい。
更年期は女性ホルモンの低下により、さまざまな手の症状をきたすことが知られています。
手や指の腱のまわりには腱鞘滑膜という組織があり、それが女性ホルモンの影響を受けることで、症状があらわれることが分かっています。

二見いすず: そうですか。
更年期の女性の手の症状には、どのようなものがありますか?

佐々木裕美Dr: 更年期の女性が手の痛みを来す疾患の代表的なものとして、ばね指、へバーデン結節などがあります。
今週はばね指について、お話いたします。

二見いすず: わかりました。
では、ばね指というのは、どのような疾患なのでしょうか。

佐々木裕美Dr: ばね指はいわゆる腱鞘炎です。
指の付け根が痛くなり、指の曲げ伸ばしの際にズキズキするような痛みが出ます。
指を曲げる腱と腱鞘というトンネルの間で炎症が起こり、痛みが引き起こされます。

二見いすず: 症状が進むとどうなりますか?

佐々木裕美Dr: ばね指の症状が進むと、指の引っかかり感が出る、曲がったまま伸ばせなくなる、伸ばそうとするとパチンという音とともに伸ばせるようになる弾発現象が起こります。
これを放っておくと指の腱が癒着し、指が完全に伸ばせなくなります。

二見いすず: 指が完全に伸ばせなくなるというのは、こわいですよね。
治療について、詳しく教えてください。

佐々木裕美Dr: まず、局所を安静にして刺激を少なくします。
装具を当てて、固定することもあります。
痛みに対しては、痛み止めの薬とステロイドを混ぜた薬を腱鞘部分に注射してあげるとよく効きます。

二見いすず: そうなんですか。

佐々木裕美Dr: さらに症状が進み、先ほどお話した弾発現象が起こると、注射だけでは改善しないので、手術が必要になります。

二見いすず: どの段階で手術を受ければいいのでしょうか。

佐々木裕美Dr: 腱が癒着して指の関節が完全に伸ばせなくなる前に手術を受けることをおすすめします。
手術は局所麻酔で20分程度で終わり、外来手術が可能です。

二見いすず: わかりました。
今週は更年期の女性に多い、ばね指の痛みと治療についてお話いただきました。
来週も手の痛みについて詳しくお話を伺ってまいります。
鹿児島県医師会の佐々木裕美(ささきひろみ)ドクターでした。
ありがとうございました。

佐々木裕美Dr: ありがとうございました。