2018.10.27 第808回放送分 『目の病気』 ゲスト:土居 範仁ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「目の病気」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の土居範仁(どいのりひと)ドクターです。
土居さん、今週もよろしくお願いいたします。

土居範仁Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週は、糖尿病が原因で起こる目の病気「糖尿病網膜症」の治療についてお話を伺いました。
近年注目されている抗VEGF薬による治療では、病状の進行を抑制し、いったん低下した視力の改善も期待できるということでした。
また、網膜光凝固術というレーザー治療は、進行を抑える治療であるというお話でしたね。

土居範仁Dr: はい。

二見いすず: 今週は、さらに進行してから糖尿病網膜症が発見された場合の治療について教えてください。

土居範仁Dr: はい。
糖尿病網膜症が進行して、目の中の出血や網膜剥離を起こしてしまい、視力が低下してしまった場合は、失明を避けるため手術を行う場合があります。

二見いすず: それはどのような手術でしょうか?

土居範仁Dr: 硝子体手術といって、眼球内のゼリー状の組織である硝子体を取り除く手術です。
顕微鏡を使った細かい操作が必要で、眼科領域では高度なレベルの手術になります。

二見いすず: そうなんですね。

土居範仁Dr: さらにこの手術は成功しても、視力が十分に回復しない場合もあります。
また、この手術は特殊な機器が必要なので、すべての医療機関で行われるわけではありません。

二見いすず: そういったことを考えると、糖尿病網膜症は早期発見がいかに大切であるかがわかりますね。

土居範仁Dr: そうですね。
早期発見・早期治療ができれば、このような複雑な手術を行わずに、血糖コントロールだけで進行を予防することが可能です。
ぜひそこで食い止めてほしいと思います。

二見いすず: 糖尿病網膜症は、早期発見、早期治療が何よりも大切だということです。

土居範仁Dr: はい。
糖尿病の患者さんには、目に症状がなくても、年に1度の眼科検診をお勧めします。
定期的な検査を受けていれば、仮に糖尿病網膜症を発症しても早期に治療を始めることができ、失明の危険性を大幅に下げることができます。

二見いすず: 糖尿病と診断された方は、ぜひ継続的な眼科検診を受けていただきたいですね。

土居範仁Dr: はい。そのとおりです。
糖尿病網膜症は、糖尿病の罹病期間が長くなればなるほど発症率が高まります。
初診時、眼底検査で異常がなくても、ぜひ継続的に眼科検診を行ってください。

二見いすず: よくわかりました。
4週にわたり、糖尿病網膜症について貴重なお話をおうかがいいたしました。
お話は鹿児島県医師会の土居範仁(どいのりひと)ドクターでした。
土居さん、どうもありがとうございました。

土居範仁Dr: ありがとうございました。