2018.12.1 第813回放送分 『肺がん』 ゲスト:水野 圭子ドクター



二見いすず: 12月になりました。
今月のドクタートークは「肺がん」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の水野圭子(みずのけいこ)ドクターです。
水野さん、どうぞよろしくお願いいたします。

水野圭子Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: まず、肺がんはどういう病気なのでしょうか。

水野圭子Dr: はじめに肺がんがどこにできるのかをご説明しましょう。
私たちが空気を吸うと、口や鼻から空気が入り、咽頭、喉頭という喉の部分から気管、それから気管が枝分かれした気管支を通り、最終的に肺に空気が入っていきます。
肺がんとは、この空気の通り道である気管、気管支、そして肺にできるがんのことです。

二見いすず: 肺がんになる人は、多いのでしょうか。

水野圭子Dr: 現在の日本人の死因第1位はがんです。
最新のデータによると、昨年2017年にがんで亡くなった方は37万3178人です。
このうち7万4095人、約20%の人が肺がんで亡くなっています。

二見いすず: 日本ではがんで亡くなる方の5人に1人が肺がんで亡くなっているということなんですね。

水野圭子Dr: そうなんです。
肺がんは日本において、部位別がん死亡者数が第1位で、患者数は大腸がん、胃がんに次ぐ第3位と、死亡者数、患者数ともに多いのが特徴です。
また、肺がんにかかる人の7割が70歳以上と高齢者に多く、男性の患者数は女性の2倍です。

二見いすず: 患者数が多く、死亡者数も多いということは、肺がんは早期発見しにくい病気なのでしょうか?

水野圭子Dr: 肺がんの症状としては、咳、たん、血痰いわゆる血が混じったたんや息切れ、胸の痛みなどが代表的ですが、これらは他の疾患でもみられる症状なので、これだけで肺がんと診断することはできません。

二見いすず: そうなんですね。

水野圭子Dr: また、肺がんは初期の段階では症状が現れないこともあります。
病状が進行し、周囲の臓器へ広がったり、他の臓器に転移することで初めて症状が現れることが多いため、症状を自覚した時点ではかなり進行していることもあるんです。

二見いすず: 咳が出るからといって、すぐに病院に行く方は少ないかもしれません。
どんな時に病院に行けばいいのでしょうか。

水野圭子Dr: 症状が長く続いたり、だんだん悪くなる場合は要注意です。
これらの症状があったからと言って、必ずしも肺がんだというわけではありませんが、咳や痰、血痰、胸の痛み、息苦しいなどの症状が続く場合は、まずはかかりつけの先生にご相談ください。
肺がんが疑われる場合はすぐに専門医に紹介してくれるはずです。
肺がんは早期発見・早期治療をすれば、治る可能性のある病気です。

二見いすず: よくわかりました。
お話は、鹿児島県医師会の水野圭子(みずのけいこ)ドクターでした。
水野さん、ありがとうございました。

水野圭子Dr: ありがとうございました。