2018.12.15 第815回放送分 『肺がん』 ゲスト:水野 圭子ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「肺がん」について、鹿児島県医師会の水野圭子(みずのけいこ)ドクターにお話を伺っております。
水野さん、今週もよろしくお願いいたします。

水野圭子Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週は肺がんの治療についてお話をお願いいたします。

水野圭子Dr: 肺がんの治療は、がん細胞の種類や大きさ、位置、範囲によって変わってきます。
もちろん、肺以外の内臓の機能や本人の体力によっても異なります。

二見いすず: 肺がんの治療は、一人ひとりの患者さんに合わせて、個別に検討されるということなんですね。

水野圭子Dr: はい、そのとおりです。
肺がんの治療法には、大きく分けて、局所療法と全身療法があります。

二見いすず: まず、局所療法について、詳しく教えてください。

水野圭子Dr: 局所療法には手術と放射線療法があります。
手術は最も治癒の可能性が高い治療です。
ただし、肺がんの手術の対象となる患者さんは、がん細胞が手術で取り除ける範囲のみに存在し、すべてを取り除くことが可能であり、なおかつ手術に耐えられる体力がある方に限られます。

二見いすず: わかりました。
もう一つの局所療法である放射線療法は、いかがでしょうか。

水野圭子Dr: 放射線療法は、がん細胞のある部位とその周辺に放射線を照射する治療法です。
がんが局所にとどまっている場合には、手術に次いで有効な治療法であり、治癒が望めない場合には、症状を和らげることを目的として用いられることもあります。

二見いすず: では、全身療法とはどのような治療法なのでしょうか。

水野圭子Dr: 全身療法とは、いわゆる薬物療法のことです。
生存期間の延長や生活の質の向上を目的に行います。
手術や放射線治療と組み合わせることも多く、肺がん患者さんの80%以上の方に薬物療法が必要です。
近年は分子標的治療薬の登場により、進行期肺がん治療は目覚ましい進歩を遂げました。

二見いすず: 具体的にはどのように変わったのでしょうか。

水野圭子Dr: 1980年ごろまでは進行肺がんと診断されれば、ほぼ半年の命と言われておりました。
その後、さまざまな抗がん剤が開発されましたが、2000年代になってもやっと1年を超える程度の予後でした。

二見いすず: そうだったんですね。

水野圭子Dr: はい。
しかし、2000年代の前半に分子標的薬が肺がん治療薬として使えるようになってからは、飛躍的に予後が延び、転移のある進行肺がんでも分子標的薬の効果があれば、3年に近い予後を期待できるようになったんです。

二見いすず: 肺がんの治療は大変進歩してきていて、進行してから発見された方も、希望を持って治療ができるようになったというお話をお伺いいたしました。
来週も引き続き肺がんの治療についてお話を伺ってまいります。
鹿児島県医師会の水野圭子(みずのけいこ)ドクターでした。
ありがとうございました。

水野圭子Dr: ありがとうございました。