二見いすず: 2019年がスタートしました。
今月のドクタートークは、「ネット依存症・睡眠障害」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の増田彰則(ますだあきのり)ドクターです。
増田さん、よろしくお願いいたします。

増田彰則Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今月のテーマは「ネット依存症」「睡眠障害」です。
いま私たちの日常生活には、手軽にインターネットにつながるスマートフォンやタブレットが浸透していますね。

増田彰則Dr: そうですね。
ネット依存は、世界的にいま問題となっており、WHO・世界保健機関は、2018年6月、オンラインゲームなどのやり過ぎで日常生活が困難になるゲーム障害を、病気の世界的な統一基準である国際疾病分類に初めて盛り込みました。

二見いすず: ゲーム障害は、国際的に病気として認められているんですね。

増田彰則Dr: はい。そうです。
いま日本ではスマホを手放さず、ネットやゲームから離れられない「ネット依存」の子どもたちが急増しています。
2018年8月に発表された厚生労働省研究班の調査によると、病的なネット依存が疑われる中高生が5年間でほぼ倍増し、全国で93万人に上ると推計されています。
これは中高生全体の7人に1人の割合です。

二見いすず: 中高生の7人に1人がネット依存になっているとは、状況が深刻化しているのは明らかですね。

増田彰則Dr: そうですね。
調査は学校で実施したものなので、通学できないほど症状が重い人は対象に含まれておらず、ネット依存の中高生は実際にはもっと多いと考えられます。

二見いすず: 鹿児島でもネット依存症のお子さんは増えているのでしょうか。

増田彰則Dr: 私が鹿児島県内の小中高生を対象とした依存症の調査によると、依存症が疑われる割合は、特に小学1〜3年の低学年男子と高校生女子で多いのが特徴です。

二見いすず: 鹿児島でも依存症のお子さんが増えているということなんですね。

増田彰則Dr: はい。
なかでも深刻なのは、低年齢化です。
小学校1年生から3年生の男子でも依存症の基準を満たす児童が17%もいます。
ということは、乳幼児から幼稚園児でスマホやゲームを使用している子どもたちが増えているということになります。

二見いすず: 子どもたちがネット依存になると、どんな問題があるのでしょうか。

増田彰則Dr: 小中高生がネット依存になると、成績低下がみられるだけではなく、睡眠障害や引きこもり、暴力などにつながることもあります。
現状を放置せず、社会全体で深刻に考えていかなければならない問題です。

二見いすず: よくわかりました。
来週も子どものネット依存について、詳しく伺ってまいります。
お話は鹿児島県医師会の増田彰則(ますだあきのり)ドクターでした。
ありがとうございました。

増田彰則Dr: ありがとうございました。