2019.1.12 第819回放送分 『ネット依存症・睡眠障害』 ゲスト:増田 彰則ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「ネット依存症・睡眠障害」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の増田彰則(ますだあきのり)ドクターです。
よろしくお願いいたします。

増田彰則Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週はネット依存の子どもたちがいま急増しているというお話をお伺いいたしました。
2018年8月に発表された厚生労働省研究班の調査によりますと、中高生の7人に1人がネット依存だということでしたね。

増田彰則Dr: はい。
最近は中高生だけではなく、小学生のネット依存も増えていて、低年齢化している傾向にあります。

二見いすず: 今週はネット依存の問題点について、お話をお願いいたします。

増田彰則Dr: ネット依存は、インターネットやゲーム、SNSの使い過ぎで、日常生活に支障が出る状態です。
特に子どもの場合は、生活の乱れや学力低下につながることが問題視されています。

二見いすず: そもそもどうして依存症になるのでしょうか。

増田彰則Dr: 依存症には脳内の神経伝達物質「ドーパミン」が関わっています。
ゲームなどで興奮や快感を得ると、快楽物質と言われるドーパミンが脳内に分泌されます。
興奮や快感を求めてコントロールできなくなると、依存症の始まりです。

二見いすず: 自分の意思でコントロールできなくなると、やめたくてもやめられない状態に陥ってしまうんですね。

増田彰則Dr: はい。
特に子どもは脳が十分に発達していないため、短期間で依存症になりやすい傾向があります。
深刻化すると、食事もとらずに熱中して健康を害したり、スマホを取り上げようとした親に暴力をふるったりするなどの問題行動につながることがあるので、注意が必要です。

二見いすず: それは大変心配なことです。
お子さんのネット依存は、生活の乱れや学力低下にもつながるということでした。

増田彰則Dr: はい。
夜遅くまでネットをしていると、朝起きるのが遅くなり、朝食を食べる時間がなくなります。
さらに、寝不足と朝食抜きの状態では、学校へ行っても授業中に眠ってしまったり、理解力や集中力が低下したりするので、学習にも悪影響を及ぼします。

二見いすず: ネット依存による生活習慣の乱れが、学力低下の原因になるということなんですね。

増田彰則Dr: はい。
実は、生活習慣の乱れは、不登校のきっかけにもなっています。
文部科学省の調査でも、朝起きられないなどの生活リズムの乱れが不登校のきっかけになったと回答している子どもたちが多くみられました。
これは、いじめを含む「人間関係」に次いで2番目に多い回答でした。

二見いすず: わかりました。
ネット依存をきっかけに、お子さんの生活習慣が乱れ、不登校になるケースもあるというお話です。
お話は鹿児島県医師会の増田彰則(ますだあきのり)ドクターでした。
増田さん、ありがとうございました。

増田彰則Dr: ありがとうございました。