2019.1.19 第820回放送分 『ネット依存症・睡眠障害』 ゲスト:増田 彰則ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「ネット依存症・睡眠障害」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の増田彰則(ますだあきのり)ドクターです。
増田さん、よろしくお願いいたします。

増田彰則Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週はお子さんの睡眠障害について、お話をお願いいたします。

増田彰則Dr: 健全な心身の発達に睡眠は欠かせないものですが、いま子どもたちの睡眠障害が増えています。

二見いすず: 睡眠障害の原因に生活習慣の乱れがあるというお話でしたね。

増田彰則Dr: 睡眠障害の中でも一番の問題になっているのが、睡眠不足です。
近年、子どもたちが寝る時間が、どんどん遅くなっています。
子どもにとって夜の10時は大人の深夜時間であります。
私が実施した調査では、夜10時以降に寝る子どもが小学校中学年では3割、高学年では6割から7割もいました。
さらに、中学校3年生になると、深夜12時以降に寝る子どもが5割から6割にものぼりました。

二見いすず: 学年が上がるにつれて、睡眠時間が短くなっているんですね。

増田彰則Dr: 睡眠不足なのは、子どもたちだけではありません。
日本のお母さんの平均睡眠時間は6.5時間で、これは世界中で最も短い数字です。
さらに3歳以下の乳幼児の睡眠時間も世界一短いという調査結果もあります。

二見いすず: 3歳以下の乳幼児の睡眠時間まで短くなっているというのは、驚きですね。

増田彰則Dr: 睡眠不足以外の問題もあります。
最近は、寝つきが悪い、怖い夢をよくみるという子どもが増えています。
小学校低学年で寝つきが悪いと答えた子どもは約4割、小学校低学年の男子で怖い夢をよくみると答えた子どもは15%もいたのは驚きでした。

二見いすず: こうしたお子さんの睡眠障害の背景には、ネット依存があるのでしょうか。

増田彰則Dr: はい。
ネット依存によって、子どもたちが睡眠不足になり、朝起きられなくなるというケースは増えています。
さらに、ネット依存は子供たちの眠りの質にも悪影響を及ぼします。

二見いすず: 詳しくお願いします。

増田彰則Dr: スマホやゲームで寝る前に強い光を浴びると、眠りへ誘うメラトニンというホルモンが減少し、なかなか寝付けなくなります。
また、スマホやゲームをした後は脳が興奮状態にあるため、怖い夢をみやすくなるのではないかと考えられます。

二見いすず: ネット依存はお子さんの睡眠のリズムと、質の両方に影響を与える点が問題なんですね。

増田彰則Dr: そうですね。
さらに睡眠不足によってイライラすると、暴力的になることもあります。
小さな子どもほど脳が影響を受けやすいので、ご家庭で対策を考えることが大切だと思います。

二見いすず: よくわかりました。
来週はネット依存の対策についてお話を伺ってまいります。
ぜひお聞きください。
お話は鹿児島県医師会の増田彰則(ますだあきのり)ドクターでした。
ありがとうございました。

増田彰則Dr: ありがとうございました。