2019.1.21 第821回放送分 『ネット依存症・睡眠障害』 ゲスト:増田 彰則ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「ネット依存症・睡眠障害」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の増田彰則(ますだあきのり)ドクターです。
増田さん、今日もよろしくお願いいたします。

増田彰則Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: これまで3週にわたり、お子さんのネット依存についてお話を伺ってまいりました。
ゲームやSNSがやめられないネット依存になると、生活習慣が乱れ、睡眠障害を引き起こすことから、学力低下や不登校につながり、引きこもりになったり、暴力を引き起こすこともあるというお話でした。

増田彰則Dr: 私のクリニックを受診した子どもたちをみると、ゲーム依存の9割は遅刻を繰り返しているか不登校で、そのうちの7割がやめさせようとする親に暴言を吐いたり、暴力をふるったりしていました。

二見いすず: そういう深刻な事態に陥らないためにも、家庭で予防することが大切ですね。
今週はお子さんのネット依存対策について、お話をお願いします。

増田彰則Dr: はい。
スマホやゲームに一度依存してしまうと、利用時間を減らすのはとても難しいです。
そこで、お子さんのいらっしゃるご家庭では、予防対策をしっかりと考えておくことが大切です。
まず、人間の脳は3歳までに基礎ができ、5歳までに9割が完成すると言われているので、幼児期や小学校低学年までは、ゲームをさせないことが最善です。

二見いすず: 子どもの脳を守るといった観点からも、幼児期は脳への刺激が強いゲームはさせない方がいいということですね。

増田彰則Dr: はい。
子供専用のスマホやゲーム機を買い与えないことも大切です。
どうしてもゲームをしたいというのなら、小学生は1日30分以内、中高生は1日1時間以内と家庭でルールを決めてください。

二見いすず: 時間管理も重要ですね。

増田彰則Dr: はい。
家族団らんの時間を作り、両親の目の届く場所でゲームをさせるといいでしょう。

二見いすず: ほかにも気をつけておきたいことはありますか?

増田彰則Dr: 夜9時以降は、ネット、ゲームをしないようにしましょう。
このとき、お子さんだけではなく、ご両親もルールを徹底することが大切です。
子どもは親の姿を見ています。
夜9時になったら、家族全員のスマホやゲーム機を1カ所に集めて、スイッチを切り、鍵のかかる場所にしまっておくのがおすすめです。

二見いすず: ネット依存の予防には、家族みんなで取り組むことが大切だということですね。

増田彰則Dr: はい。
ネット依存症の状態に陥ったら、本人や家族の努力だけで治すのは困難です。
まずはご家庭で、お子さんをスマホやゲームに依存させないための予防をしっかりして、万が一、依存の恐れがある場合には、専門機関にご相談ください。

二見いすず: よくわかりました。
4週にわたり、お子さんのネット依存症と睡眠障害について貴重なお話をお伺いいたしました。
鹿児島県医師会の増田彰則(ますだあきのり)ドクターでした。
どうもありがとうございました。

増田彰則Dr: ありがとうございました。