2019.2.9 第823回放送分 『心房細動』 ゲスト:市來仁志ドクター


二見いすず: 今月は、「心房細動(しんぼうさいどう)」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の市來仁志(いちきひとし)ドクターです。
市來さん、今週もよろしくお願いいたします。

市來仁志Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 心房細動とは不整脈の1つだというお話でしたが、原因はわかっているのでしょうか?

市來仁志Dr: 現段階では、はっきりした原因はわかっておりません。
ただ、高血圧や糖尿病、肥満など、いわゆるメタボリック症候群と言われる生活習慣病を持つ方に心房細動が多く見られることから、動脈硬化と同じようなメカニズムで心房細動が起こるのではないかと考えられています。

二見いすず: なるほど。
その他にも心房細動になりやすい方の傾向はありますか?

市來仁志Dr: 飲酒量の多い方、ストレスが多い方などがなりやすいと考えられています。
また、マラソンやトライアスロンの選手など、激しい運動をする方にも発作性の心房細動が多く見られます。
全く健康状態に問題のない若い方でも、まれに心房細動が起こることがあります。

二見いすず: 生活習慣に大きく関わっているんですね。
では、性別や年代的な特徴はありますか?

市來仁志Dr: はい。
女性よりも男性に多いのが特徴で、さらに年代が上がるにつれて心房細動が多くなる傾向があります。
日本人の健康診断受診者における有病率は約1.5%と言われておりますが、80歳以上の高齢者になると約8%まで上がります。

二見いすず: 高齢の方に多い病気なんですね。
日本にはどれくらいの患者さんがいらっしゃるのですか?

市來仁志Dr: 現在は約80万人と推定されていますが、
さらに高齢化が進む2030年には100万人を超えると予想されます。

二見いすず: けっして他人ごとではありませんね。
心房細動が続くと心不全や脳梗塞のリスクが高まるとのことでしたが、やはり早期発見が大切ということでしょうか?

市來仁志Dr: そうですね。
心房細動の発作が起こる初期の段階では、大なり小なり自覚症状が出ますので、ご本人も気がつくと思います。
もし胸のドキドキを感じた場合はご自分で脈を触ってみて、脈がバラバラに速く打っているようでしたら、一度、心電図検査を受けられることをおすすめします。

二見いすず: 心房細動が起きていても自覚症状がない方もいるというお話もありましたが。

市來仁志Dr: はい。
心房細動が慢性化すると、症状を感じなくなる方は多いです。
そういう方の場合は、健康診断で心電図をとった時にたまたま発見されることがほとんどです。

二見いすず: 毎年きちんと健診を受けることが大切だと改めて感じました。

市來仁志Dr: はい。
慢性化して自覚症状がない方でも、心電図で発見することができますので、ぜひ定期的に健康診断を受けていただきたいですね。

二見いすず: はい。
わかりました。
お話は市來仁志ドクターでした。
ありがとうございました。

市來仁志Dr: ありがとうございました。