2019.2.16 第824回放送分 『心房細動』 ゲスト:市來仁志ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「心房細動(しんぼうさいどう)」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の市來仁志(いちきひとし)ドクターです。
市來さん、よろしくお願いいたします。

市來仁志Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週は心房細動の治療についてのお話をお願いできますか。

市來仁志Dr: はい。
心電図で心房細動が確認されたら、まず胸のレントゲン検査や心臓の超音波検査をして、心房細動のもとになる病気がないかを確かめます。
代表的なのは心臓弁膜症や心筋症などが原因となります。
また、甲状腺ホルモンが過剰になる甲状腺機能亢進症がある場合も心房細動が出ることが多いので、血液検査で甲状腺機能亢進症がないか確認します。

二見いすず: 検査でその病気が見つかった場合はどうするのでしょうか?

市來仁志Dr: 心房細動の治療と並行して、あるいは心房細動の治療よりも先に、そちらの治療も進めていきます。

二見いすず: なるほど。
では、心房細動に対する治療について教えてください。

市來仁志Dr: はい。
一般的に心房細動の治療は大きく2つに分けられます。
1つは心房細動自体に対する治療です。
もう1つは心房細動が原因で起こる脳梗塞を予防する治療です。

二見いすず: 具体的にはどんな治療でしょうか?

市來仁志Dr: 心房細動自体に対する治療も大きく2つあります。
1つ目は心房細動の発作停止や予防を目的として、抗不整脈薬と呼ばれるお薬を飲んでいただく治療です。

二見いすず: 心房細動の発作自体をお薬でとめるんですね。

市來仁志Dr: はい。
もう1つは、心房細動はそのままで、脈を遅くするお薬を服用していただいて心拍数をコントロールする方法です。
ドキドキ感など心房細動に伴う症状の軽減や心不全の予防につながる治療になります。

二見いすず: 心房細動の結果として起こる脈の乱れや脈の速さの方にアプローチするわけですね。

市來仁志Dr: はい。
そうです。
最後に心房細動がもとで起こる脳梗塞を予防する治療についてお話します。

二見いすず: 以前のお話では、心房細動の一番の問題は、心臓にできた血栓が脳に飛んで、血管が詰まることにより脳梗塞が起こるということでしたね。

市來仁志Dr: はい。
脳梗塞を予防するためには血栓症を防ぐことが一番大切です。
高血圧や糖尿病、心不全などの疾患がある方、75歳以上の方、今までに脳梗塞を起こしたことのある方など、血栓症の危険因子が1つでもある方には、抗凝固薬と呼ばれる血栓予防のお薬を服用していただく治療をしていきます。
お薬の服用で効果が出ない場合には、また別の治療を考えていくことになります。

二見いすず: 来週も引き続き、心房細動の治療法についてお伺いします。
お話は、鹿児島県医師会の市來仁志(いちきひとし)ドクターでした。
ありがとうございました。

市來仁志Dr: ありがとうございました。