2019.4.6 第831回放送分 『生活習慣病』1回目 ゲスト:西尾善彦ドクター



二見いすず: 4月になりました。
新年度を迎えて、生活スタイルが変わるという方も多いのではないでしょうか。
今月は、日々の生活に深く関わる「生活習慣病」をテーマにお送りいたします。
お話は糖尿病がご専門でいらっしゃいます、鹿児島県医師会の西尾善彦(にしおよしひこ)ドクターです。
西尾さん、どうぞよろしくお願いいたします。

西尾善彦Dr: はい。
よろしくお願いいたします。

二見いすず: 「生活習慣病」という言葉自体はよく耳にいたしますが、これは生活習慣が原因で起こる病気と考えてよろしいのでしょうか?

西尾善彦Dr: そうですね。
「生活習慣病」とは不健康な生活習慣の積み重ねによって起こる
病気で、大きくとらえれば、かなり多くの病気が含まれます。
その中で最も代表的な疾患で、生活習慣に深く関わっているのが、糖尿病、高血圧、脂質異常症です。

二見いすず: 糖尿病、高血圧、脂質異常症については、この番組でも何度かテーマに挙がっておりますが、日本人に大変多い病気なんですよね?

西尾善彦Dr: はい。厚生労働省の調査によりますと、予備軍まで含めた糖尿病の方は約1000万人、高血圧の方は約1020万人、脂質異常症の方は約206万人となっています。

二見いすず: まさに国民病というわけですね。
そもそも生活習慣病は何が問題なのでしょうか。

西尾善彦Dr: 一番の問題は、糖尿病や高血圧などが進むと、血管がもろくなったり、狭くなったりする「動脈硬化」が起こることです。
動脈硬化によって心臓や脳の血管が詰まってしまうと、心筋梗塞や脳卒中といった重い病気を引き起こすリスクが高まります。
さらに怖いのは、かなり進行するまでこれといった自覚症状がないことです。
気づかない間に動脈硬化が進み、ある日突然、命に関わる病気を引き起こすので、これらの生活習慣病は「サイレントキラー」と呼ばれています。

二見いすず: 自覚症状がほとんどないまま進行していて、ある日突然、命に関わる症状が起こってしまうというのが一番怖いですね。

西尾善彦Dr: はい。
それから日本人の場合は、脳梗塞になる人が大変多いんです。
心筋梗塞に比べて命に関わることは少ないんですが、一命を取り留めても、半身まひや寝たきりになる人が多いので、日本人の生活クオリティを著しく損なう原因となっているのが生活習慣病と言えるでしょうね。

二見いすず: 脳梗塞は後遺症がとても重いのですね。
ご本人はもちろん、まわりの方にとっても大変な問題だと思います。
それから、糖尿病も重度になると、失明や足の切断などのリスクがあると聞きますが…

西尾善彦Dr: そうなんです。糖尿病が長期化しますと、網膜や腎臓、末梢神経にも影響が出てくることがあります。
これによって視力の低下や腎不全、下肢の壊疽(えそ)などが起こり、最悪の場合、失明や腎臓透析、足の切断につながってしまうこともあるんですよ。

二見いすず: 生活習慣病というのは、自覚症状があまりないだけに軽く考えてしまいがちですが、実は、とても深刻な問題を引き起こす可能性がある病気だということがよくわかりました。
次週も引き続き、生活習慣病についてお話していただきます。
鹿児島県医師会の西尾善彦(にしおよしひこ)ドクターでした。
西尾さん、どうもありがとうございました。

西尾善彦Dr: ありがとうございました。