2019.4.13 第832回放送分 『生活習慣病』2回目 ゲスト:西尾善彦ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「生活習慣病」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の西尾善彦(にしおよしひこ)ドクターです。
西尾さん、今週もどうぞよろしくお願いいたします。

西尾善彦Dr: はい。
よろしくお願いいたします。

二見いすず: 生活習慣病はその名の通り、不健康な生活習慣を続けることによって発症するもので、糖尿病、高血圧、脂質異常が代表的な疾患だということでした。
そして、自覚症状がないままに進行すると、やがては命や生活クオリティに大きく関わる病気を引き起こす可能性が高いというお話でしたね。
生活習慣病にかかりやすい方には、何か特徴はあるんでしょうか?

西尾善彦Dr: はい。
生活習慣自体に問題があるのは若い年代の方(かた)が多いんですが、それが血糖や血圧などの異常値として表れてくるのは40代以降なので、生活習慣病は高齢者にとても多い疾患と言えます。

二見いすず: 生活習慣病は40代から増えはじめ、特に高齢の方に多いとのことですが、男性と女性では何か違いがありますか?

西尾善彦Dr: はい。
これはもう、男性の方が圧倒的に多いですね。
検診のデータで見ても、男性が女性の2倍以上という印象です。
男性は女性に比べて、生活が不規則になりがちということに加え、もともと内臓のまわりに脂肪がたまりやすいということも要因です。
お腹がポッコリと出る内臓脂肪型肥満は、生活習慣病の大きな危険因子になります。

二見いすず: 男性が女性の2倍以上も生活習慣病になりやすいとは大変驚きですが、生活習慣の乱れやすさだけでなく、体質的なリスクもあるわけですね。

西尾善彦Dr: 男性の平均寿命が女性よりも短いのは、実はそれが大きな原因だと思います。

二見いすず: なるほど。
生活習慣病は、日本人の平均寿命にも関わる大きな問題だということがよくわかりました。
具体的にどのような生活習慣が病気の発症に関係しているんでしょうか?

西尾善彦Dr: はい。
基本的には食事と運動と休養、それから飲酒や喫煙の習慣ですね。
その中でも、高血圧の場合は塩分のとり過ぎ、糖尿病は運動不足が一番の要因となります。
昔に比べると、日本人の塩分摂取量は減ってきているのですが、逆にライフスタイルの変化で運動不足の人はずいぶん増えています。

二見いすず: 確かに、便利な家電が普及して家事も楽になりましたし、日常生活で身体を動かすことは少なくなりましたね。

西尾善彦Dr: そうですね。
実は、鹿児島県は糖尿病、高血圧、脂質異常症のすべてにおいて、生活習慣病の方の割合が全国平均より多いんです。
都会に比べて地方は車社会なので、日常的に歩くことが少ないというのも関係していると思います。

二見いすず: 生活習慣病には食事よりも運動が大きく関わっているということでしょうか?

西尾善彦Dr: もちろん食生活も非常に大事なんですが、全体として見れば、日本人の摂取カロリーは1960年くらいをピークに少しずつ減ってるんですよ。
でも、それ以上に消費カロリー、つまり運動量が減っているので、なかなか改善されないんですね。

二見いすず: なるほど、大変よくわかりました。
来週は、生活習慣病の予防法などについて詳しく伺ってまいります。
お話は鹿児島県医師会の西尾善彦(にしおよしひこ)ドクターでした。
西尾さん、どうもありがとうございました。

西尾善彦Dr: ありがとうございました。