2019.5.4 第835回放送分 『ワクチン』1回目 ゲスト:南武嗣ドクター



二見いすず: 5月になりました。
今週はゴールデンウィークということで、お出かけなさっている方も多いかもしれませんね。
今月のドクタートークは「ワクチン」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の南 武嗣(みなみ たけつぐ)ドクターです。
南さん、どうぞよろしくお願いいたします。

南武嗣Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: あらためまして、「ワクチン」とはどのようなものなのか、教えていただけますでしょうか。

南武嗣Dr: はい。
私たちの身体には、1回、感染症になると次はもうかからない、もしくは非常にかかりにくくなる、「免疫」という働きがあります。
この仕組みを利用して作られたのがワクチンです。
感染症を起こすウイルスや細菌の毒性を弱めたものを注射などで体内に入れ、人為的に免疫を作るということです。

二見いすず: ワクチンは感染症を予防するのが目的なのですね。

南武嗣Dr: はい。
ワクチンを接種することで感染症にかかりにくくなりますし、もしかかったとしても、接種しなかった場合と比べて、症状が非常に軽くてすみます。
それからもう一つ、ワクチンには感染症が大流行するのを防ぐという社会的な役割もあるんです。

二見いすず: ワクチンは、個人的にも社会的にも大きなメリットがあるのですね。
では、ワクチンはすべての感染症に対して作られているのですか?

南武嗣Dr: いえ、残念ながらそうではありません。
今も世界にはたくさんの感染症がありますが、
その中でワクチンがあるのは全体のほんの一部に過ぎないんです。
ワクチンの開発は難しく、非常にお金がかかりますので、
感染してしまうと命を落としたり、重い後遺症が残るリスクが高いもの、あるいは感染力が強くて社会的な影響力があるものに対して、優先的にワクチンが作られているんです。

二見いすず: ということは、現在、ワクチンがあるのは、様々な感染症の中でも特に個人的、あるいは社会的なリスクの高い病気ということですね。
ワクチンが作られている感染症には、どのようなものがあるのでしょうか。

南武嗣Dr: はい。
日本でワクチンを受けられる主な感染症は、麻疹、風疹、水ぼうそう、おたふく風邪、B型肝炎、ポリオ、日本脳炎、インフルエンザ、ヒブ、肺炎球菌など、約20種類です。

二見いすず: 予防接種でお馴染みのものばかりですが、これらの病気が元々は命に関わるような感染症だということは、あまりご存じない方も多いかもしれませんね。

南武嗣Dr: そうですね。
これだけ医療が進んだ今の日本でも、これらの感染症で亡くなったり、重い後遺症が残ったりする人がたくさんいます。
ワクチンを正しく打っていれば防げたかもしれないな…と思うと、本当に残念でなりません。

二見いすず: 今日のお話をうかがって、自分や家族の命を守るためにも、ワクチンについて正しい知識を持つということがとても大切だと感じました。
鹿児島県医師会の南武嗣(みなみたけつぐ)ドクターでした。
南さん、どうもありがとうございました。た。

南武嗣Dr: ありがとうございました。