2019.5.11 第836回放送分 『ワクチン』2回目 ゲスト:南武嗣ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「ワクチン」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の南 武嗣(みなみ たけつぐ)ドクターです。
南さん、今週もよろしくお願いいたします。

南武嗣Dr: はい。よろしくお願いします。

二見いすず: 前回、ワクチンには感染症から命を守るという大切な役割があるというお話をうかがいました。
にもかかわらず、日本ではワクチンを正しく打っていなかったために感染症で命を落としたり、重い後遺症に苦しんでいる方が少なくないというお話でしたね。

南武嗣Dr: はい。実は、専門家の間では「欧米と比べて、日本はワクチンに対する認識が遅れている」と言われ、問題視されています。
何となく「ワクチンは怖い」と思っている方も多いようですが、ワクチンの安全性については世界レベルで研究や調査が行われていて、重い副反応が出ることは非常に稀だということをぜひ知っていただきたいと思います。

二見いすず: 確かに、ワクチンのメリットよりも副反応の方が大きくクローズアップされることが多いような気がいたします。

南武嗣Dr: もちろん、ワクチンで副反応が絶対に出ないとは言い切れませんが、それはどんな医療やお薬でも同じだと思います。
ワクチンを打たずに感染症にかかる確率に比べて、ワクチンを打って重い副反応が出る確率は、何十万、何百万分の一という圧倒的な低さなのです。

二見いすず: そうなのですね。私たちも正しい知識を持って冷静に判断することがとても大切だと感じます。
ところで、ワクチンの予防接種には無料で受けられるものと、有料のものがありますよね?

南武嗣Dr: はい。予防接種には、対象年齢の人が公費、つまり国のお金で受けられる「定期接種」と、受けたい人が自分で費用を負担する「任意接種」があります。

二見いすず: 国がお金を出してくれる定期接種と違い、任意接種のワクチンはそれほど重要性が高くないということでしょうか?

南武嗣Dr: いえ、そうではありません。
日本では任意接種でも海外では定期接種になっているもの、日本でも任意接種から定期接種に移行したワクチンもたくさんあります。
これまでの経緯や国の財政事情もあり、「ロタウイルス」と「おたふく風邪」のワクチンは今も任意接種ですが、この2つは小さいお子さんにはぜひ受けていただきたいワクチンです。

二見いすず: ロタウイルスとおたふく風邪のワクチン、それはどうしてでしょうか?

南武嗣Dr: ロタウイルスは感染性の胃腸炎を引き起こします。
感染力が強く、毎年必ず流行しますし、赤ちゃんや小さい子どもがかかると非常に重症な嘔吐、下痢、高熱になる病気です。
それから、おたふく風邪も子どもがかかりやすく、高熱、頭痛、嘔吐がある髄膜炎や、1000人に1人の確率で後遺症として難聴になる、リスクの高い感染症です。
どちらもワクチンを打っていれば、感染しても症状が軽くてすみます。

二見いすず: 任意接種ではありますが、小さいお子さんは、できればロタウイルスとおたふく風邪のワクチンを受けた方がいいというお話でした。
鹿児島県医師会の南武嗣(みなみ たけつぐ)ドクターでした。
南さん、どうもありがとうございました。

南武嗣Dr: ありがとうございました。