2019.6.1 第839回放送分 『感染症』1回目 ゲスト:西順一郎ドクター



二見いすず: 6月になりました。
今月は「感染症」をテーマにお送りいたします。
お話いただくのは、微生物学がご専門の鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターです。
西さん、どうぞよろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: はい。
よろしくお願いします。

二見いすず: さっそくですが、一口に感染症と言っても、さまざまな種類があるのですよね。

西順一郎Dr: はい。
その中でも、今、感染の拡大が心配されているのが「百日咳」です。
去年から今年にかけて、全国的に患者数が急増しています。
特に鹿児島県では今年の1月から急増し、4月末の時点ですでに361人も報告されています。去年は1年間で153人だったので、今年は非常に速いペースです。

二見いすず: 4か月間で361人もですか。
それは大変心配ですね。

西順一郎Dr: はい。
人口あたりで換算しますと全国1位ということになります。

二見いすず: 百日咳はお子さんに多い病気なんでしょうか。

西順一郎Dr: 百日咳は子どもに多い病気ですが、大人にも見られる感染症です。
鹿児島県内では、小中学生が最も多く、また、その親の世代に当たる30代40代の患者さんも見られます。

二見いすず: そうですか。
では、百日咳の主な症状について詳しく教えていただけますか。

西順一郎Dr: はい。
百日咳は、百日咳菌という細菌が鼻やのど、気管などの呼吸器系に感染して毒素を出し、連続的な激しい咳を引き起こす病気です。
嘔吐を伴う咳、夜中に目を覚ますような咳、呼吸困難を伴う咳が特徴です。
咳の最後の息を吸い込む時に「ヒュー」という音が出るのも特徴です。
完全に咳が出なくなるまで何週間もかかることもあることから、「百日咳」という名前が付いたようです。

二見いすず: 命に関わることもあるのでしょうか。

西順一郎Dr: 百日咳にかかると非常に苦しく、体力を消耗しますが、亡くなることはほとんどありません。
ただ、1歳未満の乳児の場合、急に呼吸をとめる無呼吸発作や肺炎で死亡することがあるので、注意が必要です。

二見いすず: 1歳未満の赤ちゃんは、命に関わることもあるということですね。
感染を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。

西順一郎Dr: 百日咳はワクチンで予防できる病気ですので、生後3か月から1歳半までに4種混合の予防接種を受けてください。
ただ、4,5歳以降になると免疫が切れてしまいますので、任意接種にはなりますが、ぜひ追加接種を受けていただければと思います。

二見いすず: 赤ちゃんには百日咳ワクチンの接種が有効だということですね。

西順一郎Dr: はい、そうです。
百日咳は飛沫感染で、非常に感染力が強いので、乳幼児に移さないためには、咳をしている人がマスクをすることが大切です。
抗生物質で治療ができますので、もし強い咳が続くようでしたら、早めに病院を受診していただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターでした。
ありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。