2019.6.8 第840回放送分 『感染症』2回目 ゲスト:西順一郎ドクター


二見いすず: 今月は「感染症」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターです。
西さん、よろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 前回は、今年に入ってから鹿児島県でも急増しているという百日咳についてお話をしていただきました。

西順一郎Dr: はい。
今回は、主に子どもたちの間で流行が繰り返される「溶連菌感染症」についてお話したいと思います。

二見いすず: ではまず、溶連菌感染症とはどのような病気なのか教えていただけますか。

西順一郎Dr: はい。
溶連菌にはいくつかの種類がありますが、咽頭炎を起こす細菌としては、A群溶連菌という細菌がほとんどです。
A群溶連菌に感染すると、咽頭や扁桃に炎症が起こります。
主な症状は急な発熱とのどの痛みで、鼻水や咳はありません。
4,5歳から小学生くらいに多く、3歳未満の小児ではほとんどみられません。
ただ、大人も時々かかることがあります。

二見いすず: ちょうど集団生活をする年代のお子さんに多いのですね。
感染しやすい病気なのでしょうか?

西順一郎Dr: はい。
溶連菌は飛沫感染で人から人に移るため、感染が広がりやすい病気です。
ただ、それほど重症化せず、発症から3〜4日で自然に治ることがほとんどです。

二見いすず: では、かかったとしても、自然に治るまで放っておいていいのでしょうか。

西順一郎Dr: いえ、溶連菌感染症は治療しないでおくと、首のリンパ節炎がみられたり、2〜3週間後に別の病気を引き起こすことがあります。
これを続発症と言いますが、よく知られているのはリウマチ熱と急性腎炎です。
リウマチ熱は発熱や心臓・関節の炎症が起こる病気です。
急性腎炎は腎臓が炎症を起こして、血尿やむくみなどを引き起こす病気です。

二見いすず: 溶連菌感染症自体は自然に治るものだとしても、続発症のことを考えれば適切な治療が必要だということがよくわかりました。
では、具体的にはどのような治療をするのでしょうか。


西順一郎Dr: まず咽頭のぬぐい液で迅速検査をして、溶連菌に感染しているかを調べます。
感染していることが確定したら、ペニシリン系の抗菌薬を10日間内服します。
抗菌薬を飲むと24時間くらいで症状が治まってきますが、自己判断でお薬を止めず、最後までしっかりと飲みきってください。

二見いすず: リウマチ熱や急性腎炎といった続発症を予防するためにも、処方されたお薬は最後まできちんと飲むことが大切なのですね。

西順一郎Dr: はい。
溶連菌感染症にはワクチンがありませんので、他のお子さんに移さないためにも、適切な治療を受けていただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
これからの時期に流行が心配される「溶連菌感染症」について、鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターにお話をうかがいました。
西さん、ありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。