2019.7.27 第847回放送分 『子育て支援』4回目 ゲスト:鈴木重澄ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「子育て支援」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の鈴木重澄(すずきしげすみ)ドクターです。
鈴木さん、今日もどうぞよろしくお願いいたします。

鈴木重澄Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 3週にわたって、ワンオペ育児や産後うつ、それによって起こり得る子どもへの虐待など、様々な育児の問題についてうかがってまいりました。
いずれの場合も、子育て家庭を孤立させないよう、周囲の人や社会全体でサポートすることが必要だというお話でした。
今週は国や自治体が行なっている子育て支援策についてお話をお願いいたします。

鈴木重澄Dr: はい。
まず、昨年12月の「生育基本法」の成立は、子育て支援を考える上でとても大きな出来事でした。
小児科医会や医師会が20年以上前から働きかけてきたこの法律の成立は、小児科に関わる者にとって大きな悲願でもありました。

二見いすず: 「生育基本法」とはどのような法律なのでしょうか。

鈴木重澄Dr: すべての妊婦さんと子どもに対し、妊娠期・胎児期から子どもが成人になるまで、切れ目のない支援体制を保障するというものです。
子どもや保護者を孤立させず、医療・教育・福祉などが連携して、地域社会全体で子育てを支えていくということですね。

二見いすず: 子育て期だけでなく、成人になるまで一貫してサポートしてもらえる
というのはありがたいですね。

鈴木重澄Dr: そうですね。
それから、産後うつや新生児への虐待を防ぐことを目的に平成29年度から「産婦健康診査事業」が開始されました。
これは、産後うつの発症リスクが高まる産後2週目と4週目に出産した病院を受診し、心身の健康状態を診てもらうというものです。
市町村によって違いますが、鹿児島市では昨年10月1日から始まっていますので、対象の方はぜひ受けていただきたいと思います。

二見いすず: 以前は何か不安なことがあっても、一か月検診まで待たなければなりませんでしたが、生後2週目で相談できるというのは、お母さんたちにとっても大変心強いことですね。

鈴木重澄Dr: はい。
また、妊娠・出産・就学前までの子育てに関するあらゆる相談窓口となるのが、市町村に置かれた「子育て世代包括支援センター」です。
保健師などが相談に乗り、医療や福祉などの専門部署と連携して
サポートなどをしてくれるワンストップ窓口ですので、妊娠や子育てに関する困りごと、悩みごとがある時は、ぜひ利用してください。

二見いすず: 繰り返しお伝えしますが、妊娠や子育てでお悩みの方は、まずはお住いの地域の「子育て世代包括支援センター」にぜひご相談ください。

鈴木重澄Dr: 最後になりますが、子育ては1人で悩まないことが大切です。
つらさや不安を感じたら我慢せず、誰かに、誰にでもSOSを出していただきたいと思います。

二見いすず: 私たちも、社会全体で子育てをサポートするという意識が大事だと感じました。
4週にわたって、子育てについての貴重なお話をうかがいました。
鹿児島県医師会の鈴木重澄ドクターでした。
鈴木さん、ありがとうございました。

鈴木重澄Dr: ありがとうございました。