2019.8.3 第848回放送分 『熱中症』1回目 ゲスト:杉本龍史ドクター



二見いすず: 8月になりました。
今月のドクタートークは「熱中症」をテーマにお送りいたします。
お話いただくのは、鹿児島市立病院救命救急センターの杉本龍史(すぎもと りゅうじ)ドクターです。
杉本さん、どうぞよろしくお願いいたします。

杉本龍史Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: この番組でも、夏になりますと、たびたび熱中症についてお伝えしておりますが、今回、杉本さんは、救命救急医というお立場から熱中症の危険性などについてお話していただけるということですね。

杉本龍史Dr: はい。
私が担当している救命救急センターには、一般病院では対応できないような重症の患者さんが県内各地から運ばれてくるため、熱中症の中でも特に悲劇的な面に触れることになります。
どうしてもシビアなお話になるかと思いますが、ラジオをお聴きの皆さんにもぜひご理解いただければと思います。

二見いすず: よくわかりました。
では、あらためまして、熱中症はどのようにして発症するのか、教えていただけますでしょうか。

杉本龍史Dr: はい。
普段、人間は汗をかいて体温調節することで、神経や酵素を正しく働かせ、体の機能を正常に保っていますが、あまりにも気温や湿度が高い環境下では、体温調節機能がうまく働かなくなり、体温がどんどん上昇してしまいます。
体内が高温にさらされると、神経の働きや体内のミネラルバランスが狂ったり、脳や心臓、腎臓といった重要な臓器がダメージを受けたりして、時には死に至ることもあるというのが熱中症のメカニズムです。

二見いすず: 熱中症で体温調節がうまくできなくなると、体内の機能だけでなく、
内臓自体もダメージを受けてしまうのですね。
では、熱中症はどんな時に発症するのでしょうか?

杉本龍史Dr: 熱中症を発症するかどうかは、その時の気温や湿度、風や日照の有無といった環境的な要因と、その方の体質や持病の有無、作業といった個人的な要因の掛け合わせによって決まります。
同じ環境にいても、熱中症になる人とならない人がいるのはそのためなんです。

二見いすず: 単純に暑い日が続いたら熱中症になる人が増えるというわけではないのですね。
では、環境的な要因で熱中症が多くなる時期というのがあるのでしょうか。

杉本龍史Dr: はい。
熱中症の発症には大きく2つのピークがあるのが特徴でして、1つ目は本格的に暑くなる前の梅雨明けの時期です。
この時期は、湿度の高さに加え、身体がまだ暑さに慣れていないのに、つい油断して運動や作業などをしてしまい、熱中症になる人が後を絶ちません。
そして、もう1つのピークが8月の猛暑日が続く時期です。

二見いすず: まさにこれからの時期に熱中症のピークを迎えるというわけですね。
次週も引き続き、熱中症についてさらに詳しくお話をうかがいます。
鹿児島市立病院の杉本龍史(すぎもと りゅうじ)ドクターでした。
杉本さん、どうもありがとうございました。

杉本龍史Dr: ありがとうございました。