2019.8.10 第849回放送分 『熱中症』2回目 ゲスト:杉本龍史ドクター


二見いすず: 今月は「熱中症」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島市立病院救命救急センターの杉本龍史(すぎもとりゅうじ)ドクターです。
杉本さん、どうぞよろしくお願いいたします。

杉本龍史Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 前回、熱中症は気温や湿度などの環境的な要因と、その方の体質や持病といった個人的な要因の掛け合わせによって発症するかどうかが決まるというお話をしていただきました。

杉本龍史Dr: はい。
前回もお話したように、熱中症の発症には気温や湿度だけでなく、
風の有無、日照の有無、つまり太陽が照っているかどうかが大きく関わっています。
これらの気象条件をもとに、熱中症の危険度を判断する目安として導き出されたのが、「暑さ指数」と呼ばれる数値です。
この暑さ指数が28度を超えると、熱中症の患者さんが急増すると言われています。
環境省の熱中症予防サイトでは、地域ごと、日時ごとに「暑さ指数」の実測と予想を発表していますので、ぜひ参考にしてみてください。

二見いすず: 「暑さ指数」は熱中症になりやすい気象条件から導き出された数値で、28度を超えると熱中症になる危険性が高まるということですね。
それから、もう1つの個人的な要因についても詳しく教えていただけますか?

杉本龍史Dr: はい。
同じ環境下ですと、その人がしっかり汗をかけるか、つまり、体温調節が正しくできるかどうかが熱中症のなりやすさに大きく関わってきます。
また、心臓病や腎臓病、糖尿病などの持病がある方は、熱中症を発症しやすいだけでなく、重症化もしやすいのが特徴です。
これらを合わせて考えますと、やはり高齢の方や寝たきりの方が熱中症になりやすいと言えますね。
こういう方々は、自宅で安静にしていても熱中症になることがありますので、注意が必要です。

二見いすず: 寝ている間に熱中症になっていた、というお話も聞きますね。

杉本龍史Dr: 高齢の方は、汗をかきづらくなったり、皮膚感覚が弱くなったりして、体内に熱がたまりがちなので、蒸し暑い夜にクーラーをつけずに寝ていると、気づかないうちに体温が上がってしまうことがあります。
ですから、暑さを我慢せず、クーラーを使って快適な室温を保つことは、熱中症予防にとても大切だと思います。

二見いすず: よくわかりました。
では、子どもさんや若い方はどうでしょうか?
部活動中に熱中症で搬送されたというニュースもよく耳にいたしますが。

杉本龍史Dr: そうですね。
ただ、若くて健康な方が熱中症になるのは、異常な環境下に置かれた場合か、環境的な要因に加えて、何かしら無理な労作が加わった場合がほとんどです。
たとえば、赤ちゃんが炎天下の車の中に放置された場合や、高校生が蒸し暑い体育館の中で何時間も激しい運動をするといった場合ですね。

二見いすず: どちらの場合も、熱中症に対する正しい知識や理解があれば防げることではないかと感じました。
お話は鹿児島市立病院の杉本龍史(すぎもと りゅうじ)ドクターでした。
杉本さん、どうもありがとうございました。

杉本龍史Dr: ありがとうございました。