二見いすず：	今月のドクタートークは「救急医療」をテーマにお送りしています。 お話は、鹿児島市立病院救命救急センターの��間 辰雄（たかま たつお）ドクターです。 ��間さん、最終週の今日もよろしくお願いいたします。
��間辰雄Ｄｒ：	よろしくお願いします。
二見いすず：	先週は鹿児島県における救急医療の特徴や課題として、鹿児島県独自の地理的条件や地域間の医療格差のお話を伺いました。
��間辰雄Ｄｒ：	はい。 そして、もう一つ特徴的なのが「高齢者の核家族化」です。 鹿児島県は高齢者の独居世帯や夫婦など高齢者のみの世帯の数が全国でも高く、きわめて核家族化が進んでいる県なんです。
二見いすず：	そうなんですね。地方では三世代同居などが多いイメージがありましたが、逆にそれほど核家族化が進んでいるというのは驚きました。
��間辰雄Ｄｒ：	高齢者だけで暮らしていると、何でも自分でしなければならないこともあって、高齢者自身の運転による交通事故や転落外傷などが多いのも特徴です。
二見いすず：	独居や高齢者だけのご家庭では、病気になっても自分で病院に行くことができませんよね。
��間辰雄Ｄｒ：	そうですね。そういう場合、どうしても救急車に頼らざるを得ないのが実情です。 全国的にも救急要請するのは60代以降の方が圧倒的に多く、今後も高齢化に伴って、救急車の要請件数が右肩上がりで増えていくことが予想されます。
二見いすず：	高齢化や核家族化によって、今後ますます救急医療が必要になるということですね。
��間辰雄Ｄｒ：	はい。 そうした中で、今、救急医療の現場では「高齢者救急」の在り方が 大きな課題となっています。 高齢者の場合、救急病院での入院治療を終えた後、もとのように自宅で暮らせなくなったり、何度も病気を繰り返したりすることも少なくありません。 単発的な救急医療だけではカバーできず、在宅医療や介護との連携が必要となるケースがとても多いのです。
二見いすず：	医療や介護、福祉など様々な機関や職種が連携して、誰もが最期まで住み慣れた場所で暮らせるようにする「地域包括ケアシステム」が必要だということですね。
��間辰雄Ｄｒ：	はい、その通りです。 それから、高齢者救急には、どこでどんなふうに自分の人生の最期を迎えるかという「看取り」の問題も大きく関わっています。 救急車を呼ぶということは、ご本人やご家族からの意思表示がない限り、病院へ運んで延命治療をするということです。 超高齢者や末期の患者さんに対しても救命が最優先され、自宅で静かに看取ることは難しくなってしまうということを知っておいていただいた方がいいかもしれません。
二見いすず：	では、納得のいく看取りをするためにはどうすればいいのでしょうか。
��間辰雄Ｄｒ：	けっして簡単なことではありませんが、どこまでの治療をするのか、自分の人生の最期をどんなふうに迎えたいのか、事前にご本人とご家族で話し合い、情報を共有しておくことが大切なのかなと思います。
二見いすず：	大変よくわかりました。 救急医療というのはとても幅広く、また大変奥の深いものだと改めて感じました。 4週にわたり、貴重なお話をありがとうございました。 鹿児島市立病院の��間 辰雄（たかま たつお）ドクターでした。
��間辰雄Ｄｒ：	ありがとうございました。