2019.10.5 第857回放送分 『眼科疾患』1回目 ゲスト:鵜木一彦ドクター



二見いすず: 10月になりました。
今月のドクタートークは、10月10日の「目の愛護デー」にちなみ、「眼科疾患」をテーマにお送りいたします。
お話は、鹿児島県医師会の鵜木一彦(うのき かずひこ)ドクターです。
鵜木さん、よろしくお願いいたします。

鵜木一彦Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 一口に眼科疾患と言いましても、さまざまな病気があるかと思いますが、今回は、「緑内障」についてお話をしてくださるということですね。

鵜木一彦Dr: はい。
緑内障は進行すると失明のリスクがある病気です。
最新の全国調査によりますと、緑内障が日本人の失明原因の第一位となっています。

二見いすず: 「緑内障」は、日本人の失明原因の中で一番多い病気ということですが、日本に緑内障の方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?

鵜木一彦Dr: 緑内障は加齢に伴って増えていく病気で、中高年の方に多いのが特徴です。
日本人では40歳以上の約5%の方、つまり20人に1人が緑内障にかかっていると言われています。

二見いすず: 40歳以上の20人に1人と言えば、かなり多い印象ですが、周りの方を見ても、緑内障の方はそれほど多くないような気がします。

鵜木一彦Dr: はい。
緑内障はかなり進行するまで、ほとんど自覚症状がない病気なんです。
ですから、緑内障にかかっていてもそのことに気づかれていない方が多く、実際に緑内障と診断されているのは約1〜2割と言われています。

二見いすず: 進行すれば失明の危険性があるにもかかわらず、自覚症状はほとんどなく、自分が緑内障にかかっていると気づかないことも多いというのは怖いですね。

鵜木一彦Dr: はい。
緑内障は視野が少しずつ欠けてきてだんだんと見える範囲が狭くなっていくのですが、昨日今日で急に見えなくなるというわけではなく、何十年もかけて少しずつ悪くなっていくので、変化に気づきにくいんです。
また、私たちは左右両方の目でものを見ていますので、どちらかに緑内障があっても、もう片方の目でそれを補ってしまい、視野が欠けてきていることに気づかないということもあります。

二見いすず: 緑内障は気づかないうちに何十年もの長い時間をかけてゆっくり進行していく病気だということでしょうか。

鵜木一彦Dr: 多くはそうした慢性的な経過をたどるものがほとんどですが、中には、ある日突然、眼圧が急上昇して発症する急性のタイプもあります。
目の痛みやかすみ、頭痛や吐き気などの激しい症状が現れるのが特徴で、遠視の方や、白内障を持った高齢の女性に多いと言われています。
一方、慢性の緑内障は、血縁者に緑内障の方がいる場合や、強度の近視を持った方に多く見られます。

二見いすず: 緑内障は、大きく分けると慢性タイプと急性タイプがあるということですね。

鵜木一彦Dr: はい、そうですね。
ただ、緑内障全体でみると、急性の緑内障は1〜2割と少なく、ほとんどが慢性の緑内障ということになります。


二見いすず: 大変よくわかりました。
次回も引き続き、緑内障についてお話をしていただきます。
鹿児島県医師会の鵜木一彦(うのき かずひこ)ドクターでした。
鵜木さん、ありがとうございました。

鵜木一彦Dr: ありがとうございました。