2019.10.26 第860回放送分 『眼科疾患』4回目 ゲスト:鵜木一彦ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「眼科疾患」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の鵜木一彦(うのき かずひこ)ドクターです。
鵜木さん、よろしくお願いいたします。

鵜木一彦Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 3週にわたり、緑内障について様々なお話を伺ってまいりましたが、最終週の今日は治療について詳しく教えていただけるということですね?

鵜木一彦Dr: はい。
前回も申し上げましたように、緑内障によって損なわれた視神経は治療をしても元のように回復することはありません。
そのため、緑内障の治療は病気の進行を遅らせることを目的に、眼圧を下げる薬物治療というのを中心に行います。
具体的には、緑内障のタイプや進行度、眼圧の高さに応じた点眼薬を使って眼圧をコントロールしていくということです。

二見いすず: 緑内障は眼圧を下げるための薬物治療が中心となるということですね。
急性の場合も同じでしょうか?

鵜木一彦Dr: 急性の場合は、一刻も早く眼圧を下げないと失明の危険があるので、薬物治療に加え、レーザー治療や手術を行なうことも多いです。
また、慢性の緑内障でも、薬物治療で十分な効果が出なかった場合はレーザー治療、もしくは手術をすることもあります。

二見いすず: よくわかりました。
それでは、緑内障の治療はいつまで続ければいいのでしょうか?

鵜木一彦Dr: ここがとても重要なところなのですが、緑内障に「完治」ということはありませんので、治療は一生続けていただかなければなりません。
途中で治療をやめてしまうと、そこからまた進行してしまうからです。

二見いすず: 緑内障は、それ以上の進行を防ぐために、一生、治療を続けていかなければいけないのですね。

鵜木一彦Dr: はい、その通りです。
患者さんにとっては大変なことですけれども、ぜひご理解いただき、治療を続けていただきたいと思います。

二見いすず: 大変よくわかりました。
それでは、緑内障を予防するために、私たち自身で出来ることは何かあるんでしょうか?

鵜木一彦Dr: 残念ながら、慢性の緑内障は、生活習慣病などと違い、個人の努力や生活の制限で予防できる病気ではありません。

二見いすず: そうなんですね。
では、急性の場合はいかがでしょうか?

鵜木一彦Dr: 急性緑内障は、発作が起こることにより眼圧が急上昇して発症します。
そのため、急性の場合はあらかじめレーザー治療や白内障手術で発作が起こる要因を取り除いておくことで、緑内障の発症を防ぐことができると言われています。


二見いすず: 急性の緑内障は白内障手術やレーザー治療を受けることで発作を防げる可能性があるということですね。

鵜木一彦Dr: はい、そうです。
いずれにしても、緑内障は発見や治療開始が早ければ早いほど、進行を遅らせて失明を防ぐことができる病気です。
また、加齢とともに増えていく病気でもありますので、40歳を過ぎた方はぜひ一度、検査を受けてみることをお勧めします。

二見いすず: 繰り返しになりますが、緑内障は早期発見・早期治療が大切だそうです。
気になる方はぜひ眼科で検査を受けてください。
今月は緑内障について、貴重なお話を伺いました。
鹿児島県医師会の鵜木一彦(うのき かずひこ)ドクターでした。
鵜木さん、ありがとうございました。

鵜木一彦Dr: ありがとうございました。