2019.11.2 第861回放送分 『虚血性心疾患』1回目 ゲスト:神田大輔ドクター



二見いすず: 11月になりました。
今月のドクタートークは、「虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)」をテーマにお送りします。
お話は、鹿児島県医師会の神田大輔(かんだ だいすけ)ドクターです。
神田さん、よろしくお願いいたします。

神田大輔Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: まず、「虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)」という病名は、一般の方にはあまりなじみがないように感じますが、どういった病気なのか教えていただけますか?

神田大輔Dr: はい。
「虚血性心疾患」は、いわゆる狭心症や急性心筋梗塞の総称です。
心臓には冠動脈という血管がつながっていて、この血管を通して心臓の筋肉に酸素や栄養が運ばれています。
けれども、何らかの原因で、冠動脈が細くなったり、詰まったりすると、血流が障害されて、必要な栄養や酸素が届かなくなり、心臓の筋肉組織がダメージを受けてしまいます。
虚血性心疾患とは文字通り、血液が不足することで起こる心臓の病気だと言えると思います。

二見いすず: 狭心症や心筋梗塞という病名なら、よく耳にいたしますね。
どちらも冠動脈(かんどうみゃく)の血流が障害されて発症する病気とのことですが、狭心症と心筋梗塞では何が違うのでしょうか。

神田大輔Dr: 簡単に言ってしまえば、心臓に受けたダメージの程度の違いですね。
心筋梗塞は、血液の不足によって心臓の筋肉が壊死を起こしかけている、あるいは壊死してしまった状態なので、非常に強い症状が現れます。
一方、狭心症は血流が悪くなった時だけ発作的に症状が現れ、それ以外の時は何も症状がないのが特徴です。
軽いのが狭心症で、それが重症化したものが心筋梗塞と考えていただくとわかりやすいのではないでしょうか。

二見いすず: 心臓のダメージが軽く、発作として時々、症状が出る程度のものが狭心症で、それが重症化してしまったものが心筋梗塞というわけですね。
心臓の疾患と言いますと、やはり命にかかわるものなのでしょうか。

神田大輔Dr: 重症の狭心症や心筋梗塞は、最悪の場合、突然死を起こすなど、命にかかわる重要な疾患です。

二見いすず: 心筋梗塞と言いますと、ドラマなどではいきなり胸を押さえて倒れこむといったシーンをよく見かけますが、やはり命を落としてしまう方も多いのですね。

神田大輔Dr: そうですね。
現在、日本人の死因の第一位は「がん」ですが、第二位は「心疾患」です。
中でも、急性心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患の割合が多く、急性心筋梗塞で亡くなる人は、1年間に3万人を超えるとされています。

二見いすず: 1年で3万人もの方が急性心筋梗塞で亡くなっているとは大変驚きました。
虚血性心疾患は、日本人にとって特に気を付けなければならない病気なのですね。
次回も引き続き、虚血性心疾患について詳しく伺ってまいります。
お話は鹿児島県医師会の神田大輔(かんだだいすけ)ドクターでした。
神田さん、ありがとうございました。

神田大輔Dr: ありがとうございました。