2019.11.9 第862回放送分 『虚血性心疾患』2回目 ゲスト:神田大輔ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「虚血性心疾患」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の神田大輔(かんだ だいすけ)ドクターです。
神田さん、よろしくお願いいたします。

神田大輔Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 「虚血性心疾患」というのは狭心症や心筋梗塞などの総称で、心臓の冠動脈が細くなったり、詰まったりすることで必要な酸素や栄養がいかなくなり、心臓の組織にダメージが起こる病気だというお話でしたね。

神田大輔Dr: はい。その通りです。

二見いすず: では、狭心症や心筋梗塞になると、どのような症状が出るのでしょうか?

神田大輔Dr: はい。どちらも心臓の疾患ですから、胸の痛みや息苦しさといったものが代表的な症状です。
ただ、胸の痛みといっても、虚血性心疾患の場合はズキンズキンと刺すような痛みはほとんどありません。
どちらかといえば、上から胸をグーッと押さえつけられるような圧迫感を訴える患者さんが多いです。

二見いすず: 痛みというよりも圧迫感を感じることが多いのですね。
虚血性心疾患になると、そうした症状が常に出ているものなのでしょうか?

神田大輔Dr: 病気がまだ軽いうちは、階段を上る、重いものを持つ、運動をするといった時に発作として現れることがほとんどです。
筋肉に負荷がかかるような時は、普段よりも多くの酸素を必要とするため、酸素の供給が間に合わなくなるからです。

二見いすず: 少し負荷のかかる運動をした時に発作的な症状が出るということですね。
安静にしている時には症状は出ないのですか?

神田大輔Dr: 病気が重症化してきますと、安静にしている時にも胸痛発作が出るようになります。
急性心筋梗塞では強い胸の痛みや息苦しさが持続し、時には意識を失ったり、突然死を招いたりすることもありますね。

二見いすず: 突然死というのが一番怖いですね。
狭心症や心筋梗塞になっていても、ご本人に自覚症状はないのでしょうか?

神田大輔Dr: それが意外とご本人にもわからず、「これが心筋梗塞の症状だったなんて」とおっしゃる患者さんも多いんです。
先ほども申し上げたように、胸の圧迫感や痛み、息苦しさが代表的な症状ですが、
心筋梗塞の場合、左側の肩や腕、あるいは歯に痛みが出るということもあります。

二見いすず: そうなんですね!
左側の肩や腕、歯に症状が出ることもあるなんて、本当に驚きました。
まさか、それが心筋梗塞の症状だとご存じない方も多いと思います。
 神田大輔Dr: おっしゃる通り、「肩凝りだと思っていた」とか、「疲れだと思っていた」などと言われる患者さんも少なくありません。
それが心筋梗塞の症状だという知識を持ってないと、どうしても見逃してしまうということが起こりがちです。

二見いすず:  繰り返しますが、心筋梗塞は胸部の圧迫感や息苦しさだけでなく、左側の肩や腕、あるいは歯にも痛みが出ることもあるということです。
ラジオをお聴きの皆様もどうぞ覚えておいていただければと思います。
お話は鹿児島県医師会の神田大輔(かんだだいすけ)ドクターでした。
神田さん、ありがとうございました。

神田大輔Dr: ありがとうございました。