2019.11.16 第863回放送分 『虚血性心疾患』3回目 ゲスト:神田大輔ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「虚血性心疾患」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の神田大輔(かんだ だいすけ)ドクターです。
神田さん、よろしくお願いいたします。

神田大輔Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 虚血性心疾患はいわゆる狭心症や心筋梗塞の総称ということで、
前回はそれぞれの症状についてお話をしていただきました。
今週は虚血性心疾患の原因について教えてくださるということですね。

神田大輔Dr: はい。
虚血性心疾患を発症する一番の原因は動脈硬化です。
加齢あるいは高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病、または喫煙などによって冠動脈が動脈硬化をきたし、冠動脈が細くなったり、詰まったりしてしまうことで必要な酸素や栄養が届かなくなり、心臓がダメージを受けてしまうのです。

二見いすず: よくわかりました。
では、動脈硬化以外の原因で起こることもあるのでしょうか?

神田大輔Dr: はい。
冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)と言って、動脈硬化のない人でも過度のストレスや血管機能の低下によって、冠動脈の痙攣発作が起こるというタイプの狭心症もあります。

二見いすず: もともと動脈硬化がない人でも
過度のストレスによって狭心症になることがあるのですね。

神田大輔Dr: はい。
それから、もうひとつは喫煙による血管機能の低下です。
タバコに含まれるニコチンは体内に入ると、血管を傷つける物質を増やしてしまいます。
普段からタバコを吸っている人は、血管自体の機能が落ちており、ストレスがかかった時に冠動脈が痙攣を起こしやすくなりますので、狭心症や心筋梗塞の患者さんには「絶対に禁煙を守ってください」とお伝えしています。

二見いすず: お話をまとめますと、生活習慣病などによって動脈硬化が進んでいる方、過度なストレスがある方や喫煙をする方は、狭心症や心筋梗塞になりやすいということですね。

神田大輔Dr: はい。
その通りです。
動脈硬化は加齢とともに進むため、心筋梗塞や狭心症といえば、以前はご年配の方に多い疾患だったのですが、現代は食生活やライフスタイルの変化もあって早くから生活習慣病になる方も多く、比較的若い方でも心筋梗塞や狭心症になるケースが増加しています。

二見いすず: 若い方といいますと、だいたいどれくらいの年代の方でしょうか?

神田大輔Dr: ここ最近は40代から50代くらいの患者さんが非常に増えていると言われています。

二見いすず: ちなみに、男女差はあるのでしょうか?

 神田大輔Dr: 早くから生活習慣病を発症し、そこから動脈硬化になるのは男性が圧倒的に多いです。
一方、女性は閉経すると、動脈硬化を予防する作用があるエストロゲンという女性ホルモンが急激に減るので、閉経したあとが要注意です。

二見いすず:  大変よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の神田大輔(かんだだいすけ)ドクターでした。
ありがとうございました。

神田大輔Dr: ありがとうございました。