2019.12.28 第869回放送分 『インフルエンザ』4回目 ゲスト:南武嗣ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「インフルエンザ」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の南武嗣(みなみ たけつぐ)ドクターです。
南さん、最終週の今日もどうぞよろしくお願いいたします。

南武嗣Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週まで、インフルエンザの予防についてお話していただきましたが、今週は治療法について教えてくださるとのことですね。

南武嗣Dr: はい。
まずは、インフルエンザかどうかを確定する検査を受けていただきます。
感染してすぐはまだウイルスが少なく、判定できないことも多いので、発熱して半日ほどしてからの受診をお勧めします。

二見いすず: わかりました。
では、インフルエンザだと確定したらどのような治療をするのでしょうか。

南武嗣Dr: インフルエンザの治療は、抗インフルエンザウイルス薬の投与が基本です。
抗ウイルス薬は、細胞内で増えたウイルスが拡散するのを抑制するため、正しく使用すれば症状が劇的に改善します。

二見いすず: インフルエンザのお薬といえば、タミフルやリレンザなどが有名ですね。

南武嗣Dr: はい。
タミフルやリレンザは2000年代の初めに登場した治療薬です。
それ以前は熱や咳などの症状を抑える対症療法的なものしかなく、インフルエンザで亡くなる子どもさんや高齢者がたくさんいました。
抗ウイルス薬の登場は、インフルエンザの治療を画期的に変えたと思います。

二見いすず: 抗インフルエンザウイルス薬が出たのが、わずか20年ほど前のお話だとは、とても驚きました。

南武嗣Dr: そうですね。
インフルエンザ治療薬は、この20年でさらに進化しています。
吸入薬のリレンザと内服薬のタミフルは1日2回、5日間の服用が必要ですが、2010年に発売された吸入薬の「イナビル」と点滴薬の「ラピアクタ」は1回の投与で済むようになりました。

二見いすず: 昨年は、「ゾフルーザ」という新薬が登場して話題になりましたね。

南武嗣Dr: はい。
従来のお薬は、細胞内で増殖したウイルスの拡散を抑えるのが特徴ですが、ゾフルーザにはウイルスの増殖自体を抑えるという画期的な作用があり、錠剤を1錠服用するだけで、早ければ翌日には熱が下がってきます。


二見いすず: 錠剤を1回飲むだけで熱が下がるというのは、大変助かりますね。

南武嗣Dr: そうですね。
ただ、従来の薬にも新薬にもそれぞれメリットとデメリットがありますし、お薬の効き方は人それぞれなので、医師とよく相談したうえで適切な治療を選んでいただければと思います。
ただ1つ注意していただきたいのは、抗ウイルス薬は発症してから48時間以内に投与しないと十分な効果が出ないことです。
検査のタイミングと合わせて、適切な時期に受診するよう気をつけてください。


二見いすず: 大変よくわかりました。
ラジオをお聴きの皆さんも、まずは早めのワクチン接種と日頃の予防を心がけ、もしも感染してしまったら、適切な時期に医療機関を受診してください。
お話は、鹿児島県医師会の南武嗣(みなみ たけつぐ)ドクターでした。
南さん、貴重なお話をありがとうございました。

南武嗣Dr: はい、ありがとうございました。