2020.1.25 第873回放送分 『アルコール依存症』4回目 ゲスト:田中大三ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「アルコール依存症」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の田中 大三(たなか だいぞう)ドクターです。
田中さん、最終週の今日もよろしくお願いいたします。

田中大三Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 3週にわたり、さまざまなお話を伺ってきましたが、依存症に対して、私たちには誤解していることがたくさんあるということがよくわかりました。
社会や周囲の人が依存症になった人を責めたり、厳しく接したりしても根本的な解決にはつながらないということですね。

田中大三Dr おっしゃる通りです。
依存症の回復に必要なのは否定や批判ではなく、受容です。
アルコール依存症の患者さんがお酒を飲むのは、快楽だけを求めているわけではなく、「生きづらさ」という苦しみから逃れるための、いわば彼らなりの自己治療であることをご理解いただければと思います。

二見いすず: よくわかりました。
ただ、一方でそれを支えるご家族も大変な思いをしていらっしゃるのではないでしょうか。

田中大三Dr アルコール依存症は人間関係を壊してしまう病気ですので、ご家族も大変つらい思いをされ、傷ついておられます。
それでも患者さんを支えようと家族が頑張れば頑張るほど、本人は安心してお酒を飲み続けられることができ、かえって逆効果になってしまいます。

二見いすず: では、依存症の方のご家族はどうしたらいいのでしょうか?

田中大三Dr 自分たちだけで何とかしようとせず、誰かに相談してください。
今までもお話してきたように、依存症は脳の障害による病気なので、家族だけで治せるものではありません。
専門家の力を借りてきちんと治療することが必要です。
そして、ご本人が治療に向き合っている間に、ご家族もしっかりと自分を癒してください。
特にお子さんがいらっしゃる場合は、傷ついた子どもさんのケアが大切です。

二見いすず: 依存症の治療は必ず専門家の力を借りて行うこと、その間にご家族も自分たちの傷をしっかりと癒していくということですね。

田中大三Dr はい。
依存症の回復には周囲の理解や支えが欠かせません。
ですから、病院では治療と並行してご家族のサポートも行なっていますし、先週もお話した自助グループに患者さんをつなぐお手伝いもしています。

二見いすず: では、最後にご本人やご家族が相談できる窓口があれば教えてください。

田中大三Dr はい。
鹿児島県精神保健福祉センターや最寄りの保健所では、アルコールや薬物依存についての電話相談や面接相談を行なっています。
鹿児島県精神保健福祉センターの電話番号は099−218−4755です。
月曜から金曜の8時30分から17時まで受け付けています。

二見いすず: 繰り返してお伝えします。
依存症の相談は鹿児島県精神保健福祉センターにお電話してください。
電話番号は099−218−4755、受付時間は月曜から金曜の8時30分から夕方17時までということです。

田中大三Dr アルコール依存症は適切な治療をすれば、必ず回復する病気です。
ぜひ勇気を出して一歩を踏み出していただければと思います。

二見いすず: 今月はアルコール依存症について大変貴重なお話をしていただきました。
鹿児島県医師会の田中大三(たなか だいぞう)ドクターでした。
ありがとうございました。

田中大三Dr ありがとうございました。