2020.2.29 第878回放送分 『アレルギー性鼻炎』5回目 ゲスト:松永信也ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「アレルギー性鼻炎」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の松永 信也(まつなが しんや)ドクターです。
松永さん、最終週の今日もよろしくお願いいたします。

松永信也Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: アレルギー性鼻炎の治療には薬物療法、手術、免疫療法という3つの選択肢があり、前回は薬物療法と手術についてお伺いしました。
今回は免疫療法についてお話していただけるとのことですね。

松永信也Dr: はい。
免疫療法というのは、アレルギーの原因物質、いわゆるアレルゲンを体内に少量ずつ取り入れて身体を慣らしていくことで、症状の緩和や改善を図る治療法です。
以前から皮下注射でアレルゲンを投与する方法がありましたが、最近は、新しい投与方法を使った舌下免疫療法という治療法が確立されました。

二見いすず: 舌下免疫療法というのは、どのようなものでしょうか?

松永信也Dr: 1日1回、ご自宅で舌下、つまりベロの下にお薬を投与していただきます。
この治療法は、免疫システム自体に働きかけるためうまくいけば、アレルギー性鼻炎が完治する可能性もあります。
また、皮下注射に比べて、舌下投与では強い副作用が非常にすくなく、5歳以上のお子さんから実施できます。

二見いすず: 1日1回の服薬でアレルギー性鼻炎が完治する可能性もあるというの
患者さんにとっては大変よい治療法のようですね。

松永信也Dr: はい。
ただ、舌下免疫療法は今のところスギ花粉とダニのアレルギーにしか実施できません。
またお薬の服用を、毎日必ず、そして、できれば3年以上は続けてもらうので実際には、なかなか根気のいる治療法であります。

二見いすず: アレルギー症状が出ている時だけでなく毎日、しかも最低3年以上お薬の服用を続けるというのは確かにとてもハードルが高い気がしますね。
薬物療法、手術、免疫療法のうち、実際にはどの治療法が多いのでしょうか?

松永信也Dr: 私の場合は、お薬で症状を緩和する薬物療法が中心です。
その中で、どうしても薬物療養が難しいというような方に対しては、手術や免疫療法という別の選択肢があるということをお話します。
どの治療法にもそれぞれにメリットとデメリットがありますので、医師とよく相談して決めていただければと思います。

二見いすず: よくわかりました。
最後にアレルギー性鼻炎のつらい症状に悩む方がご自分でできる対策があれば、ぜひ教えてください。

松永信也Dr: まずは、薬をきちんと使用する事です。
次いでアレルギーの原因となっている物質との接触をできるだけ少なくすることが大事です。
そして、睡眠や食事や運動などにも気を付けて自律神経のバランスを整えておくことも有用だと思います。


二見いすず: よくわかりました。
今月は5週にわたり、アレルギー性鼻炎について貴重なお話を伺いました。
鹿児島県医師会の松永 信也(まつながしんや)ドクターでした。
ありがとうございました。

松永信也Dr: ありがとうございました。