2020.4.4 第883回放送分 『ワクチン』1回目 ゲスト:西順一郎ドクター



二見いすず: 4月、新年度がスタートしましたね。
今月のドクタートークは「ワクチン」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の西 順一郎(にし じゅにちろう)ドクターです。
西さんどうぞよろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 1回目の今日は、どういうワクチンについてお話いただけますか?

西順一郎Dr: 今日はMRワクチンについてお伝えします。

二見いすず: はい。
MRワクチンというのは何ですか?

西順一郎Dr: MRワクチンというのは、麻疹いわゆるはしかのワクチンと風疹ワクチンが一緒になっている、混合の生ワクチンのことです。

二見いすず: ということは、このMRワクチンを接種すれば麻疹も風疹も両方予防できるということなんですね?

西順一郎Dr: はい、そうです。

二見いすず: では麻疹と風疹、それぞれの病気について詳しく教えていただきたいと思いますが。
まずは麻疹についてお願いします。

西順一郎Dr: 麻疹は非常に感染しやすい病気で、免疫を持たない人が感染すると、ほぼ100%発症します。

二見いすず: 100%ですか!?

西順一郎Dr: はい。
発熱や発疹などの症状が出て、重症になると子どもは肺炎、大人は脳炎といった合併症がみられ、患者の1000人に1人は亡くなるといわれています。


二見いすず: そうですか。ワクチンがいかに大切かが分かりますね。
このMRワクチンはいつ接種すればいいのでしょうか?

西順一郎Dr: MRワクチンは定期接種です。
1歳児と小学校入学前1年間の2回接種するようになっています。


二見いすず: 2回摂取が必要なんですね?

西順一郎Dr: はい。
2回接種することでしっかりとした免疫をつけることができます。
麻疹は東南アジアやヨーロッパでも流行しているので、オリンピック・パラリンピックがある今年は、例年以上に注意が必要です。


二見いすず: 分かりました。
次に風疹について教えてください。

西順一郎Dr: 風疹は先ほどの麻疹に比べると比較的軽いのですが、妊婦が風疹にかかると、お腹の赤ちゃんまで風疹ウイルスがうつってしまい、目や耳、心臓などに先天性の病気がみられます。

二見いすず: とても心配なことです。
妊婦さんはMRワクチンを摂取することはできるのでしょうか?

西順一郎Dr: いいえ、生ワクチンですので、妊婦さんは摂取できません。
だからこそ周囲や職場のみなさんがワクチンを接種することが大切です。
特に気をつけてほしいのが、現在41歳から57歳の男性です。

二見いすず: それはどうしてでしょうか?

西順一郎Dr: この世代の男性は過去に一度も風疹のワクチンを接種していないので、風疹にとてもかかりやすいんです。
そこで去年から、この世代の男性は無料で抗体検査とワクチン接種ができるようになりました。

二見いすず: 妊婦さんと生まれてくる赤ちゃんを守るために、ぜひ受けてほしいですね。
今日は、お話は鹿児島県医師会の西順一郎ドクターでした。
西さんどうもありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。