2020.4.11 第884回放送分 『ワクチン』2回目 ゲスト:西順一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「ワクチン」についてお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の西順一郎ドクターです。
西さん今週もよろしくお願いします。

西順一郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今日は、どういうワクチンについてお話いただけますか?

西順一郎Dr: 肺炎球菌ワクチンについてお伝えします。

二見いすず: はい。
肺炎球菌というのは、どういったものなのでしょうか?

西順一郎Dr: 肺炎球菌は、きょう膜という分厚い膜に包まれていて、血液中に入ると私たちの白血球が退治するのが難しい細菌です。

二見いすず: 肺炎球菌はどのようにして感染するのでしょうか?

西順一郎Dr: 肺炎球菌は主に子どもの多くと、成人の一部が鼻や喉にもっていて咳やくしゃみによって周囲に飛び散ります。
免疫力の低下している高齢者などがそれを吸い込んで感染していくと考えられています。

二見いすず: そうなんですね。

西順一郎Dr: 実は成人がかかる肺炎の約3割は、肺炎球菌で起こります。
また肺炎球菌は、肺炎以外にも血液中に侵入して菌血症を起こし、進行すると髄膜炎になります。
菌血症や髄膜炎での死亡率は10数%と高く、重症の病気です。

二見いすず: それは大変心配です。
感染した場合、どのような症状が出るのでしょうか?

西順一郎Dr: 肺炎ですと、食欲が落ち、咳、たん、発熱、息苦しさなどの症状がみられます。
菌血症は発熱が主な症状で、ひどくなると血圧が下がりショックになります。
髄膜炎ですと、発熱、頭痛、意識障害、けいれんなどの症状がみられます。


二見いすず: 大変深刻な症状ですけれど、これらを予防するために、肺炎球菌のワクチン接種が大切なんですね。

西順一郎Dr: はい。
肺炎球菌には96種類の型がありますが、その中の23種類に対して効果のあるワクチンが65歳以上の高齢者の定期接種になっています。


二見いすず: そうなんですね。

西順一郎Dr: 定期接種の肺炎球菌ワクチンのほかに、子どもに接種している13種類の型を含んだ肺炎球菌ワクチンも65歳以上の方は任意接種として接種することができます。
含まれる肺炎球菌の型は少ないですが、免疫を誘導する力がとても強いため、高齢者にも接種がすすめられています。


二見いすず: 接種する順番は決まっているんですか?

西順一郎Dr: どちらからでも接種できますが、先に13種類の型の任意接種、そのあとに23種類の型の定期接種をするとより効果の高い免疫が期待できます。

二見いすず: 肺炎球菌ワクチンには定期接種と任意接種の2種類のワクチンがあり、両方組み合わせることが大切ということですね。

西順一郎Dr: はい。
健康寿命を伸ばして、いつまでも元気でいるためにも肺炎球菌ワクチンを忘れずに接種していただきたいです。

二見いすず: お話は、鹿児島県医師会の西順一郎ドクターでした。
ありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。