2020.4.25 第886回放送分 『ワクチン』4回目 ゲスト:西順一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「ワクチン」についてお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の西順一郎ドクターです。
西さん最終週の今日もよろしくお願いします。

西順一郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今日は、どういったワクチンについてのお話でしょうか?

西順一郎Dr: 乳幼児に接種する、ロタウイルスワクチンについてお伝えします。

二見いすず: ロタウィルスというのは時々耳にするような気もしますが、感染すると、どんな症状が出るのでしょうか?

西順一郎Dr: ロタウイルス感染症は、乳幼児に急性胃腸炎を起こします。
乳幼児の嘔吐下痢症で一番多いのが、このロタウイルスによるものです。

二見いすず: 重症化しやすいのでしょうか?

西順一郎Dr: そうですね。重症になると脱水症になり、全国でも1年間で十数人の患者さんが脳炎などで亡くなられています。

二見いすず: それは心配ですね。ロタウイルスにはどのようにして感染してしまうのですか?

西順一郎Dr: 子どもから子どもへ、便の中にあるウイルスが広がることで感染します。
予防には、手洗いをしっかりすることと、ワクチンをきちんと接種することが大切です。

二見いすず: 分かりました。
ワクチンを接種すると、ロタウイルスに感染しないのですか?

西順一郎Dr: 残念ながら感染をゼロにすることはできないのですが、重症化をおさえ、入院のリスクを減らすことができます。

二見いすず: そうなんですね。

西順一郎Dr: ロタウイルスワクチンは、2011年に任意接種として日本にも導入され、以降、接種率も上がってきました。
現在60%から70%の乳幼児が接種しています。

二見いすず: 導入前と比べて入院する乳幼児は減ったのでしょうか?

西順一郎Dr: はい。
鹿児島県でも半分以下に減っていますので、重症化を抑える効果は期待できると思います。
しかも現在は任意接種ですが、今年の10月からは定期接種になりますので、無料で接種できるようになります。
生後2ヶ月から遅くても14週目くらいまでに接種するようにしてください。


二見いすず: ところで、このロタウイルスワクチンを接種するにあたり、なにか気を付けることはありますか?

西順一郎Dr: ワクチン接種後1週間以内に、ごくまれに腸重積という病気になる場合があるので、それには注意が必要です。

二見いすず: 先生、腸重積とはどういったものでしょうか?

西順一郎Dr: 腸が詰まり、腹痛や嘔吐、血便などの症状がでます。
放っておくと手術が必要になることもあるので、接種後に不機嫌で嘔吐があるときは、早めに医療機関を受診するようにしてください。

二見いすず: 分かりました。お子さんの様子を注意深く見守って欲しいと思います。
今月は4回にわたって、ワクチンについてお伝えしてきました。
新型コロナウィルスの影響で、ワクチンがいかに大切かをみなさんも感じていることと思います。

西順一郎Dr: そうですね。ワクチンで予防できる感染症は、ワクチンをしっかり接種して頂きたいと思います。

二見いすず: お話は、鹿児島県医師会の西順一郎ドクターでした。
ありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。