2020.5.23 第890回放送分 『食中毒』4回目 ゲスト:川村 英樹ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「食中毒」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の川村 英樹(かわむら ひでき)ドクターです。
川村さん今日もどうぞよろしくお願いいたします。

川村英樹Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週は、食中毒による症状についてお伺いいたしました。
症状が出たらなるべく早く医療機関を受診した方がいいというお話でしたね。

川村英樹Dr: そうですね。
特にお子さん、そして高齢者の方には注意していただきたいです。

二見いすず: 子どもや高齢者以外で、特に注意すべき方たちはいらっしゃいますか?

川村英樹Dr: 免疫が落ちる持病を持っている方、免疫を抑える薬を飲んでいる方、海外渡航のある方などは特に気をつけていただきたいです。
こういった方たちは早めに受診して、抗生物質を飲まれた方がいいです。
逆に、これ以外の方たちが全員、抗生物質を飲めばいいというわけではありません。

二見いすず: それはどうしてなのでしょうか?

川村英樹Dr: ウイルスが原因の食中毒には、抗生物質は効果がないからです。
また近年抗生物質が効かない薬剤耐性菌というのが問題となっていますが、抗生物質を飲むことで薬剤耐性菌が増えることも問題です。
あと、ウイルス性、細菌性ともに、下痢止めの薬には注意した方がいいでしょう。

二見いすず: 食中毒で下痢がひどい場合は、下痢止めを飲むという方も多いかと思いますが、いけないのでしょうか?

川村英樹Dr: 悪いものは早めに体の外へ出した方がいいので、下痢止めの薬を飲み過ぎてしまうのはよくありません。

二見いすず: 分かりました。
このような判断を間違わないためにも、自己判断をせず、早めに医療機関を受診した方がいいですね。

川村英樹Dr: おっしゃるとおりです。
ちなみに医療機関を受診するひとつの目安として、脱水症状がある方は急いで医療機関を受診するようにしてください。


二見いすず: 脱水症状というのは、具体的にはどのような症状が出るのでしょうか?

川村英樹Dr: 喉の渇きや、皮膚の強い乾燥、めまい、ふらつき、意識が朦朧とする、尿が出ない。
これらが脱水症状の主な例です。
特にご高齢の方ですと、我慢したり症状が出づらかったりする場合があるので、注意が必要です。


二見いすず: ご自身でも気づかないうちに、脱水症状になっていたということも起こりうるわけですね?

川村英樹Dr: そうですね。
ですので、脱水症状を防ぐためにも、ご家庭できちんと水分補給をしていただきたいと思います。

二見いすず: どのような飲み物が水分補給には適しているのでしょうか?

川村英樹Dr: 水やお茶、そして薬局などで販売されている経口補水液などがいいでしょう。

二見いすず: 分かりました。
脱水症状がある方はどうぞ早めに医療機関を受診してください。
お話は鹿児島県医師会の川村英樹ドクターでした。ありがとうございました。

川村英樹Dr: ありがとうございました。