2020.7.4 第896回放送分 『子どもの腎臓の疾患』1回目 ゲスト:宮園 明典ドクター



二見いすず: 今月7月のドクタートークは「子どもの腎臓の疾患」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の宮園 明典(みやぞの あきのり)ドクターです。
宮園さんどうぞよろしくお願いいたします。

宮園明典Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 宮園さんは腎臓がご専門とのことなので、今月は子どもの腎臓の疾患についてお話いただきたいと思います。
今日は、どのようなお話でしょうか?

宮園明典Dr: 今回は、腎臓の働きついてのお話しです。
これは子どもに限ったことではなく、大人のみなさんにも通じるものですが、まずはきちんと理解していただきたいと思います。
ところでみなさんは、腎臓の働きというと、尿をつくること以外はあまりご存知ではないのではないでしょうか。

二見いすず: 確かにそうですね。

宮園明典Dr: 腎臓は尿をつくること以外にもさまざまな働きがあります。
そのひとつが水分の調節です。

二見いすず: そうなんですね。

宮園明典Dr: 水分を摂れないときは、極力少ない尿の量で老廃物を排泄し、多く摂ったときは、体液が過剰にならないように、たくさんの尿を排泄します。
また、電解質の調整もしてくれるんです。

二見いすず: 電解質というのは、どのようなものなのでしょうか?

宮園明典Dr: ナトリウムやカリウムなどの体の中にあるイオンのことです。
血液中の電解質の濃度を一定に保つ働きも、腎臓が行っています。
電解質はわずかな変化でも、生命に危険を及ぼしてしまいます。

二見いすず: それは怖いですね。
電解質が変化すると、どのような症状が出るのでしょうか?

宮園明典Dr: 脳がダメージを受けて痙攣や意識障害を起こし、ひどい場合には呼吸停止にいたります。
また、カリウムの濃度が変化すると、不整脈や心停止を引き起こしてしまうんです。

二見いすず: 本当に深刻なんですね。
そのような状態にならないために、腎臓が頑張ってくれているんですね。

宮園明典Dr: はい。
私たちは普段、「今日は昼にナトリウムをたくさん摂ったから、夜は控えておこう」とか、「汗を何リットルかいたから、水を何リットル飲もう」など、意識しなくても生活していられますよね?


二見いすず: そうですね。

宮園明典Dr: それは腎臓がバランスを調節してくれているからなんです。

二見いすず: すごい働きなんですね!

宮園明典Dr: 腎臓の働きはまだまだあります。
とにかく、私たちが健康に過ごしていくために非常に大切な役割を担っているんです。

二見いすず: もしも腎臓が機能しなくなると、どうなってしまうのでしょうか?

宮園明典Dr: これらの働きが損なわれ、透析を行わなければ、生命が維持できなくなります。
食事や水分摂取量などの日常生活の制限も必要になってきます。

二見いすず: いかに腎臓が大切な働きを行っているかがよく分かりました。
来週以降もよろしくお願いします。
お話は、宮園明典ドクターでした。ありがとうございました。

宮園明典Dr: ありがとうございました。