2020.8.8 第901回放送分 『耳鼻咽喉科・頭頸部外科疾患』2回目 ゲスト:山下 勝ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「耳鼻咽喉科・頭頸部外科の疾患」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の山下 勝(やましたまさる)ドクターです。
山下さんどうぞよろしくお願いいたします。

山下勝Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は声がかすれる原因について教えていただきましたが、今日はどのようなことを教えていただけますか。

山下勝Dr: 今日は嚥下障害についてお話しします。

二見いすず: 嚥下障害とはどのような障害なのかを教えていただけますか。

山下勝Dr: はい。
嚥下とは、口の中のものを飲み込んで胃に送ることで、飲み込む動作がうまくできない状態を嚥下障害と言います。

二見いすず: 食べ物をうまく飲み込めないと、私たちの体ではどのようなことが起こってしまうのでしょうか。

山下勝Dr: 食事が摂りづらくなるため、栄養不足や脱水を起こします。
また、食べ物が喉に詰まって窒息する危険もあるほか、高齢者の命をおびやかす誤嚥性肺炎を引き起こす原因にもなります。

二見いすず: 食事や水を飲み込むというのは、健康な人にとっては当たり前のことかもしれませんが、とても大切な体の機能なんですね。

山下勝Dr: そうですね。
私たちは普段食事をするとき、何気なく口に入れて噛んで飲み込むことをしています。
でも実は口の中と喉で、さまざまなことが正常に行われているので、普通に食事をすることができるんです。

二見いすず: そうなんですね。

山下勝Dr: はい。
まず、口の中で固形物を噛んで、小さく咀嚼できること、舌で送り込めること、口がしっかり閉じられることが大切です。
そして、口腔内の圧力を上げて、鼻にいかないように蓋をして、気道に入らないように蓋をして、やっと飲み込むことができるんです。

二見いすず: ただ食事をして飲み込むだけでも、私たちの口の中と喉では、そんなに多くのことをしているんですね。

山下勝Dr: そうなんです。
ちなみに自宅でも簡単にできるトレーニング法があるので、ぜひみなさんにも試していただきたいです。


二見いすず: どういったトレーニング法なのでしょうか。

山下勝Dr: まず舌のトレーニングですが、舌を思いっきり「ベー」っと5秒くらい出してください。
それから、頬や唇の周りを回しましょう。これらが舌の運動になります。
ぜひ毎日行ってください。また、あおむけに寝た状態で首をあげてつま先を見ると、喉周りの筋肉が鍛えられます。

二見いすず: これなら自宅でも毎日手軽にできそうですね。

山下勝Dr: はい。
ちなみに嚥下障害の感覚改善には、氷などの冷たい刺激や唐辛子の辛味成分であるカプサイシンが有効とされています。
また、食事をゼリー状にすることもできますし、水を飲むときにむせやすいという方は、とろみをつける市販の粉があるので、そちらを使ってみるのもいいかもしれません。

二見いすず:
いろんな方法があるんですね。

山下勝Dr: 食事に関しては昔よりも選択肢が広がったので、ぜひご活用ください。

二見いすず: 来週もよろしくお願いします。
お話は、山下勝ドクターでした。ありがとうございました。

山下勝Dr: ありがとうございました。